1983年 税理士登録。
T・H会(日本税務研究センター内の租税法判例研究グループ)発足 代表世話人、税理士法人安部経営会計事務所所長、(有)東京経営研究所所長、病・医院経営指導所所長。
今回、お話をお伺いしたのは、東京都豊島区の税理士法人安部経営会計事務所の代表税理士の安部勝一先生です。医療専門の事務所で、弊社の医療関係の動画・音声セミナーにも多くご出演いただいています。今回は、昨年11月に税理士法人化された経緯についてお話を伺いました。
開業は、板橋区高島平の自宅兼事務所のマンションからスタートです。事務を手伝ってくれる人を募集しましたが、なかなか応募がなく、やっと来てくれたと思ったら、翌日辞めてしまいました(笑)。今思えば、自宅兼の小さなマンションですから無理もありません。しかたなく、まったく素人の家内に税理士会の研修に出てもらって経理を一から覚えてもらいました。
少しずつお客様が増えて、大塚駅の反対側に事務所を借りました。その後、銀行の支店長から紹介があって、今の場所に移転しました。
まったくしてません。全て顧問先のドクターからの紹介です。一度、某新聞社のお誘いで医療関係の特集記事に広告を出しましたが、電話は1本もかかってきませんでした(笑)。その前もその後も一切宣伝はしたことがありません。
それは、医療専門の事務所として、専門の分析・情報をきちんと提供していることからだと思います。
例えば、厚生労働省の発表する資料をきちんと読み解いて各顧問先のドクターの状況に合わせて数字を比較してアドバイスしています。
もっぱら土日に自分で勉強しています。趣味はゴルフなのでゴルフには行きますが、それ以外は、医療系の雑誌を読んだり、厚労省の資料を読んだりしています。ドクターより分かっていないと指導はできませんから。
紹介でお客様が増えて宣伝する必要もないので、今まで法人化は考えてこなかったです。
しかし、令和5年11月からインボイス制度が始まります。法人化して消費税の設立メリットを享受するには、最後のチャンスです(笑)。数百万円単位の話ですから、事務所の経営上、当然考えなければならないことだと思います。
ひとつは、医療専門でやってきたことがあると思います。お医者さんは、経営が安定されているケースが多いですから、当然顧問料も安定しますし、比較的高額な顧問料をいただけます。
長年やってきて、顧問料を下げてくれと言われた記憶はほとんどありません。
あまり込み入ったプライベートなことで興味本位に聞いたり、口を挟んだりしないことではないでしょうか。本人が解決することですから。税理士という立場をわきまえることが必要だと思います。
それと、ドクターの中には、脱税思考的な方もまれにいらっしゃいます。
私に直接言ってくる人はいませんが、担当者なら言いやすいのか無理なことを言ってくるお客様もいます。そういう方は、たとえ顧問料が高くても毅然と顧問をお断りすることにしています。担当者が疲弊しますし、そんな脱税的なことが明るみになって、他の顧問先に迷惑をかけてしまっては大変です。
まあ結局は、運がよかったのです。
独立時には所属していた会計事務所の所長先生から数件の顧問先を譲っていただきました。感謝しています。
その後もお客さまから仲間のドクターを紹介いただき、宣伝せずに顧問先が増えていきました。
さらに世の中、バブルに湧きましたから。お医者さんは、バブルの恩恵を受けた方がたくさんいました。私も自社ビルの事務所を建てることができました。これも、自分で探した訳ではなく、銀行の支店長の紹介です。
先日もある顧問先のドクターから、「私は運がいい人と付き合いたい。安部先生が自分は運がいいというから、一緒に写真を撮ってくれ」と言われて写真に納まりました(笑)。私はたまたま運が良かっただけです。