経歴は後日更新いたします。
今回は、レガシィの会員制度「日本決算書すっきりアドバイザー協会」の会員で、音声・動画セミナーの講師をしていただいたこともある村中昭仁先生にお話を伺いました。 すっきりシートとの出会いやお客様との向き合い方など、大変興味深い内容です。
私は最初から税理士を目指していたわけではありませんでした。
大学生になった時、就職に有利になるように日商簿記の勉強を始めました。
勉強を進めるうちに、日商簿記1級より税理士試験の簿記論の方が出題範囲が狭いという話を聞き、予備校のコースを税理士科に変更しました。
大学3年生の時に初めて税理士試験を簿記論と財務諸表論で受験したのですが、運よく2科目ともに初受験で合格してしまいました。目的の簿記論は合格したのですが、この調子でやれば在学中に5科目合格するのではないかと思ってしまい、税理士試験の勉強を続行することになりました。その後、在学中に税法が1つ合格し、残り2科目になったことで、「ここまで来たら」という思いで、進路を会計業界に決めたのです。
このように流れに身に任せていたら、税理士への道筋がついていたという感じです。
大学卒業後、働きながらの勉強はやはり難しく、最後の相続税法に合格した際には26歳になっておりました。当時の事務所の先生のご厚意で数年後の独立を前提に、先生の事務所に半分在籍するような形で、お客様を獲得する猶予期間をいただきました。
そして、ある程度のお客様を獲得し、収入の見込みが立ったところで、愛知県長久手市の自宅で開業することになりました。29歳の時のことです。
その後、1件、1件顧問先を増やし、今に至っております。今年で開業30周年になります。
昔聞いた講演でコンサルタントの方がおっしゃっていた「ビジネスの原点はお客様である。お客様の立場に立って、お客様に視点をうつして、物事を考えた時、発想が変わり、アイデアが変わり、行動が変わる」という言葉に感銘を受けて、「お客様第一主義」を長らく標榜していました。
ただ、税理士たる者、お客様第一主義だけではいけないとある時気づきました。
ある年、確定申告の無料相談の相談員をしたのですが、隣で相談員をなさっていた年配の先生に「正しいこと」を「正しく行うこと」を大切にしなさい、という言葉を教えていただきました。
「お客様の要望にどこまで対応すべきか」ということに悩んでいたこともあり、この言葉に私は大変共感しました。お客様のご要望を第一にして、それを叶えることだけを目的にしてしまうと、場合によっては、行き過ぎた節税や不正に加担してしまうことになりかねません。 「お客様第一主義」は重要ですが、その前提として、「正しいこと」を選択・判断し、それを「正しい」手順・手続きで行うことこそが税理士に求められていることだと思うのです。今では、この言葉が私の事務所の行動指針であり、仕事を行う際の判断基準になっています。
もちろん、お客様サポートを疎かにするわけではありません。鎌倉時代の御家人の、幕府に大事あればすぐにでも鎌倉に駆けつけようという覚悟を示した「いざ鎌倉」という言葉がありますが、村中事務所としては「いざお客様」という心意気で、お客様のお手伝いをしています。
私にも決算書説明の際にどのような話の仕方をすればいいか、困っていた時期がありました。
自分の中で説明のフォーマットが定まらず、社長様ごと、いつもばらばらの順番でまとまらない話をしてしまい、最後に社長様と笑って世間話に近い形で決算説明が終わってしまうということが多々ありました。
こうした状況を、どうにかしたいとずっと考えていた時に「日本決算書すっきりアドバイザー協会」の決算すっきりシートに出会いました。
すっきりシートは、3つの数字で話せば社長様の望む内容を十分に説明できるというメソッドのツールです。
この出会いで、話す内容と話す順番の「基本型」が定まりました。基本の型が定まったことで、そこから試行錯誤ができるようになりました。現在では、それぞれの社長様に合わせた説明ができるようになり、決算書にあまり興味のない方にも、少しずつ興味を持っていただけるようなやり方がわかってきたと思っています。
私は税理士であってコンサルタントではないということは常に意識しています。
「正しいことを正しく行う」という方針のもと、お客様を税務面からサポートしていくというのが私の目指すべきところだと考えています。
偶然の重なりで足を踏み入れた会計業界ですが、これまで通り、これからも、真面目にしっかりお客様と税務に向き合い業務を行っていきたいです。その中で、いいお客様と出会い、長くお付き合いを続けられたら、こんなに嬉しいことはありません。