お問い合わせ

お電話(平日9:00~17:30)

フリーダイヤルのアイコン 0120-00-8377 メールのアイコン メール

専門家インタビュー

税務と労務、二つの専門性で支える“身近な相談役”

大阪府出身。税理士・社会保険労務士。労務管理業務・営業事務業務を経て経理職に従事後、税理士事務所にて実務経験を積みながら資格を取得。2022年に独立開業し、税務と労務の両面から中小企業の経営を支援している。遠隔地の職員ともメタバースを活用したバーチャルオフィスで連携を図るなど、テクノロジーを柔軟に取り入れた事務所運営を実践。現在は10名規模の体制を目指し、総合的なコンサルティング型事務所の構築を進めている。

地域に根ざした専門家として、経営者や働く人々の課題に寄り添い続ける藤原宗和先生。これまでの歩みと現在の取り組み、そして今後の展望についてお話を伺いました。

税理士を目指したきっかけを教えてください

私は初めから税理士を目指していたわけではありませんでした。派遣会社で契約社員として労務管理を担当していた時期があり、給与計算や人員管理など、数字を扱う業務に日常的に関わるなかで、次第に経理という職種に関心を持つようになりました。ただ、実際に給与計算を任されたときには知識が追いつかず、困惑したことを今でも覚えています。こうした経験を通じて、「しっかりと学び、専門的なスキルを身につけたい」と考えるようになったのです。

30歳手前という人生の節目もあり、このままではいけないという焦燥感に背中を押され、職業訓練校に通って簿記3級から学び直しました。やがて簿記2級も取得し、本格的に経理職を目指すこととなりました。最初は営業事務としてのスタートでしたが、経理担当が退職したタイミングでそのポジションを引き継ぐことになり、気がつけば経理責任者に。税理士とのやり取りも増える中で、専門知識の幅広さに感銘を受け、自分で税務の知識を深めたいと思うようになったのです。

もともと税理士は堅くて難しい職業という印象を持っていたのですが、勤務先の顧問税理士の先生がとても親身で、その印象が大きく変わりました。また、グループ会社の方が税理士有資格者であり税理士試験への挑戦を応援してくれました。このような方々との出会いが、「自分も本気で税理士を目指したい」と思ったきっかけです。

その以前は独学からスタートしたものの、働きながらの学習には限界があり、税理士事務所への転職後に専門学校への通学を決意。平日はフルタイムで働き、週末は授業という過密スケジュールでしたが、粘り強く取り組み、数年かけて資格取得までたどり着きました。

また、当時は上野の事務所に勤めていましたが、そこの副所長や直属の上司と、実務や制度について意見を交わすことがあり、それが非常に刺激的で学ぶほどに理解が深まり、知識が有機的につながっていくことに面白さを感じていました。授業で学んだ最新の税法事情が実務で活かせたり、逆に実務で経験したことが試験勉強の理論学習において法的理解に結びつけられ、学んだことが実務に還元されていく実感がありました。これは今の仕事にも大きく影響しています。

独立までの経緯を教えてください

合格後、さらなる成長を目指して税理士法人へ転職。ここでは、顧客の対応以外にもチームでの分業体制や積極的なシステム化など、多角的な実務経験を積むことができました。他の会計ソフトを触る機会や業務フローの整備にも触れ、「効率化」と「品質維持」をどう両立するかという課題に真正面から取り組む中で、事務所経営のイメージがより現実的に描けるようになっていきました。

転職先では、自分の経験を活かしてスタッフの教育や育成にも関わりましたが、社会保険労務士試験合格後は、いよいよ自らの事務所を立ち上げることを意識することに。その後、2020年8月、個人事務所として開業。少しずつクライアントを増やしながら、徐々に本格化していき、最終的に転職先は2年で退職となりました。

開業時には不安もありましたが、「税務だけでなく多角的に、一人ひとりのお客様としっかり向き合いたい」という想いが勝り、自分のペースで信頼関係を築いていける環境が自分には合っていると確信しました。

デジタルを活用して事務所を運営していると聞きました

独立にあたり、まず重視したのは「時間と情報の管理」です。電話による応対を極力減らし、やり取りはすべてチャットで記録に残す。面談も完全予約制とし、業務の可視化と効率化を図りました。この運用は、フリーランスやリモートワークとの親和性が高く、職員との連携にも効果を発揮しています。

バーチャルオフィスとしてメタバースを導入し、九州など遠方に住む職員とも日常的に会話できる体制を整えました。出社が難しい職員とも「その場にいる」感覚で働けるため、物理的な距離を感じさせない運営が可能になっています。

AI OCRの活用やクラウド会計の導入で記帳代行の省力化も日々実践。紙だけでなくペーパーレスを積極的に組み合わせた運用で、お客様にも無理なく移行してもらえるよう工夫しています。また、定期的なフィードバックや業務改善ミーティングも設け、常にチーム全体での最適化を図っています。

社労士としての視点が支える幅広い対応力

税理士業と社労士業のダブルライセンスを活かし、顧問先の経営に幅広く関与できることが最大の強みです。例えば、雇用環境・条件の整備や労務リスクのアドバイスなど、会計や税務だけではカバーしきれない領域にも対応できることが、他の事務所との差別化につながっています。

社会保険の届出、労働条件通知書の指導、給与計算における勤怠面の考え方など、社労士ならではの視点を取り入れることで、単なる税務顧問にとどまらない関係性を構築できるのです。複数資格を掛け合わせた総合支援が、クライアントにとって大きな価値をもたらすと実感しています。

実際に顧問契約を結ぶ際は、税務と社労士の両方をセットで依頼されることが年々増加しており、窓口が一本化されていることで「相談しやすい」と言っていただけることが多いです。

クライアント対応の姿勢と信頼構築

私が最も重視しているのは、説明の丁寧さです。初めての依頼であっても、なぜその処理を行うのか、どういった意味があるのかをしっかり伝えることで、納得と安心を提供するよう心がけています。言葉を尽くすことが信頼構築の第一歩だと考えています。

また、開業当初は紹介サイトを活用して集客活動を行っていましたが、現在ではほとんどが既存顧客からの紹介やホームページ経由からの成約となっています。一度関係を築いたお客様とは長くお付き合いとなる職業ですので、経営における“身近な相談役”としての存在を意識しています。

信頼関係が築ければ、困ったときや緊急時にもすぐに相談いただけるようになります。その関係性が、より幅広いサポートや顧問契約の継続にも繋がっていくと考えています。

今後の展望と事務所の理想像

今後の目標は、10名規模の体制で、質の高いサービスを安定して提供できる事務所を築くことです。単に人数を増やすのではなく、それぞれの強みを活かした役割分担を徹底し、全体としての生産性と専門性を高めていきたい思いがあります。

将来的には、財務・労務・資産形成といった複数の専門分野を包括したコンサルティング型の事務所を目指しており、ライフプランや相続設計、教育資金や老後資金の相談など、より個人に寄り添った支援にも取り組んでいく体制を構想しています。

また、他士業とのネットワークを活かし、法務・登記・不動産といった周辺分野とも連携できる体制を今後より一層拡大し、地域社会において「まずはここに相談すれば大丈夫」と言われるような、信頼の拠点を築いていきたいと考えています。

 

single_banner