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専門家インタビュー

国税出身の経験もいかし 幅広いサポートの提供を目指す

同志社大学工学部卒業後、大阪国税局で法人税務調査に従事し、財務省主税局で法人税の制度設計を担当。2020年にキハラ税理士事務所を設立し、2021年に社会保険労務士としても登録。

国税出身・IT専攻という強みを生かし活躍している木原先生。税理士になったきっかけや力を入れている取り組みなどをお伺いしました。

税理士を目指したきっかけを教えてください

私は国税出身の税理士なので、まず国税職員を目指したきっかけをお話しします。大学は理系の学部で、進学率が高いのであまり深く考えずに大学院に進学しました。専攻は情報工学、つまりIT専攻だったんですが、当時のその分野っておそらく今よりマニアックな学生が多くて、趣味で自分でパソコンを作ったりゲームを作ったりするような人たちがたくさんいたんです。その中で、パソコンやプログラミングに興味があるわけでもなく、なんとなく「最先端だから」という理由でITを専攻してしまった自分は、周りの学生と比べてひどく落ちこぼれているような感覚になってしまいました。

このまま理系の道に進んでSEやエンジニアになったら自分は苦労するだろうなと考えるようになり、理系就職を止めて文系就職を目指すことにしました。ちょうどそのころ、先に国税で勤めていた幼馴染みから職場の話を聞く機会があって、(国税の仕事は)税務調査とか人から嫌われるような仕事もあるけど、その分給料は良いし定時で帰れるよ、といった話を聞いて、大学院を1年で中退して国税専門官試験(公務員試験)を受けることにしました。そういった経緯なので、決して高い志を持って国税職員になったわけではなく、自分が理系で落ちこぼれたのをきっかけに安定を求めて公務員を選んだという感じです。

ただ、いざ国税に入ってみると、仕事は結構楽しかったんです。もともとは安定だったりプライベートの時間を充実させるためといった下心で公務員になったので、仕事の内容にはあまり関心が無かったのですが、実際に働いてみると、自分の人生を豊かにする上で仕事に生きがいを見出すことの大切さを実感しました。そこから自分が生きがいを感じられる仕事とはどういうものなのかを模索しながら仕事をするようになりました。

例えば税務調査では、様々な業界の中小企業の社長とお話をする機会があったので、社長に仕事のやりがいや経営の極意を伺ったり、その顧問の税理士に「税理士の仕事はおもしろいですか?」とか「儲かりますか?」といった厚かましい質問をしたり、国税OBの先生には「辞めてよかったですか?」と聞いてみたり。そういった話を聞くうちに、税務署で働いて3年目くらいのころでしょうか、国税で10年働いたら税法科目が免除になることを知り、自分も10年働いたら開業税理士になって自由に働きたいと思うようになりました。

その後財務省主税局での出向を経て、2020年5月に退職して8月に税理士登録しました。同じ年の8月に社労士試験に合格して翌年8月には社労士も登録しました。独立当初は顧客ゼロの状態でオフィスを借りたせいで、オフィスの賃料と生活費の支払いでみるみる貯金が減っていたので、手っ取り早く稼ごうと仲介サイトを使って単価安めの仕事にも手を出していました。

ただ、仲介サイト経由の仕事ってもともと単価が安い上に仲介手数料がすごく高いので、どれだけ働いてもなかなか実入りが増えないんです。ですので、少しずつ単価を上げさせていただいて、そのうち自分のホームページからのお問い合わせやお客様からの紹介も少しずつ増えてきて、開業2年目ごろからようやく自力で集客できる普通の税理士事務所になれたなという感覚です。

国税出身でよかったなというエピソードはありますか

やっぱり税務署のさじ加減が想像つくというのは強みかと思います。どこまでが経費になってどこからが経費にならないのか、自分で税務調査をしていた経験があるので大体想像がつきますね。また、届出など修正するときの手続きはこうしたらよいとか、どういった対応をとれば税務署の人たちがスムーズに処理してくれるかとか、そういったことが分かるので、実務面ではやっぱり国税での経験が助かっています。

ただ、独立して間もない頃は「税務調査立ち合いサービス」といったものをやっていたのですが、ある税務調査の立ち合いをした時に、若手の調査官とその上司(統括官)の二人で来られまして、上司の方が若手の調査官に対して、私と社長の前で、「預かり証」の書き方やら何やらを怒りながら細かく指導している姿を見て、自分が若手調査官だったころの苦い思い出が蘇ってきて悲しい気持ちになりました。なので今は税務調査の立ち合いは顧問先以外の方には対応していません。税務署の人たちとはなるべく関わらないで穏やかな人生を送りたいと思っています(笑)。今でもホームページには自分の強みの一つに元国税を掲げてはいますが、あまりこの肩書を全面に出すと税務調査の仕事ばかりになりそうなのでしれっと記載する程度に留めています。

今力を入れていることや将来的な展望を教えてください

今課題が大きく三つあります。一つ目は、士業として当たり前のことではありますが、恒常的に技術を磨き、知識を深めることです。というのも、独立当初はとにかく資金繰りが心配だったので、売上を伸ばすことばかり考えていました。ところが、売上が少しずつ増えてきて金銭面での心配が少なくなってきた今、自分が日ごろ何に一番ストレスを感じているかを考えると、お金のことではなくて、お客様からの質問に即座にきちんと答えられなかったときや、一部のお客様に対して「顧問料に見合ったサービスが提供できていないかも……」と考えてしまうときなんです。

自分の精神状態を健全に保ち、ストレスのない日々を送るためにも、お客様の幅広いニーズにしっかり応えられるように、常に知識を深める努力をしたいと思っています。ちなみに今、FP1級の勉強をしているんですが、私がやりたいことはファイナンシャルプランニングに近いように感じています。何か特定の業種や分野に特化するのではなく、お客様一人一人に対して税務、労務のサポートから融資や補助金などの資金調達、社長の老後の資産形成など、幅広く支援したいと思っています。

二つ目は業務を体系化することです。小さい事務所ですから私の裁量に依存するところが大きく、組織として仕事を体系化できていない部分がまだあるので、お客様ごとにサポートの品質にばらつきが出てしまうことがあります。今後は業務を仕組み化するとともに、例えば、「この料金ならここまではできますが、これ以上の業務は追加料金になります」といった明瞭な料金体系を設けて、お客様それぞれの顧問料に見合った公平なサービスを提供できるようにしたいと思っています。スタッフも今は2人しかいませんが、もう少し増やしていく予定です。まことしやかではありますが、この業界では10人規模の事務所が一番コスパがよいと言われていて、10人の根拠はよくわかりませんが私もなんとなく10人前後の事務所にしたいなと考えています。

三つ目は、そうしてただ人数を増やすだけではなく、相場よりも高い給与をスタッフにしっかり払える状態を維持することです。私は物欲や金欲があまりなく、自分自身のQOLにはすでに現状である程度満足してしまっているので、今後は、スタッフの給与面、そのほか福利厚生やオフィス環境においても、スタッフに快適で働きやすい環境を提供して、私なりにほんの僅かではありますが雇用の観点から社会に貢献したいと思っています。

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