大学卒業後、税理士事務所を経て、大手監査法人で主に金融機関(銀行、VC、保証会社など)の会計監査業務に従事。監査法人退職後は、IT系ベンチャー企業において、経理責任者として、決算開示や上場準備のための内部管理体制構築などを担当。その後、河野優毅税理士事務所を開業。
税理士事務所や監査法人での業務を経て、30代で独立開業した河野先生。会計士を目指したきっかけや力を入れている取り組みなどをお伺いしてきました。
私は、中学からずっと慶応に通う内部生で、あまり勉強していなかったので、大学に入ったらちゃんと勉強しようと思い、日吉駅前で見かけた会計士のチラシがきっかけで簿記を始めることになります。
新卒で銀行に少しだけ勤めた後、自宅近くの税理士事務所に入ったのですが、業務が夜遅くまであり、勉強ができなかったので、確定申告が終わった5月に辞めました。その後、大手監査法人に入社し、金融事業部で銀行やベンチャーキャピタル、保証会社などを担当しました。
その頃には、ゆくゆくは独立したいと思っていたのですが、トーマツ5年目の頃に、友人がベンチャー企業を立ち上げ、そちらに移りました。IT業界で消費者と法人をマッチングさせるプラットフォームを運営し、上場担当責任者や経理部長などを務め1年ほど働きましたが、あまりにハードな仕事に疲れていましたね。
このままではIPOが難しいなというのと、事業会社に籍を置くよりも、外から多くの会社を支援したいと思うようになり、独立を決意しました。ベンチャー会社の社長と喧嘩したこともきっかけではありましたが(笑)。元々は会計士としてIPO支援を中心にと考えていましたが、税務の依頼が増えたこともあり、税理士登録し、徐々に税務も拡大していきました。
妻が生まれ育ち、事務所のあるこの地域を盛り上げるということを一番大事にしています。そのために青年会議所に参加していますが、企業を目指す方から経営者まで、年代は大学生から40歳までの多くの方が参加し、月に一度の会合や地域の活動を通じて、仕事の話も多く交わしています。
独立して何もわからなかった時期に、青年会議所に参加し、はじめは忙しくて参加できないこともありましたが、2023年の夏頃から積極的に活動し始めると、地域の活動が楽しいと感じるようになりました。
現在、妻と二人で事務所を運営していますが、妻は元々幼稚園の先生で、私が独立を目指した頃から簿記の勉強を始めてくれました。今後も二人でできる範囲で事務所を運営していく予定です。
事務所の方針としては、お客様に寄り添える事務所にしたいなと思っています。監査業務だとあまり感謝されるということがないのですが、税理士業務は、社長さんの困りごとを解決してあげるとすごく喜んでくれてこちらもうれしい気持ちになるのでやりがいになります。もちろん会計業務も好きですが、そういった意味で、会計士業務と税理士業務を半々くらいでやっていきたいです。
一番は、業務をお受けするかどうかに関して自由裁量で決められる点です。例えば、売上が数百万円の小さな会社でも、その人に寄り添ってサポートできるのが魅力です。大きな組織ではコストがかかるため断られることが多いですが、独立しているとそのような制約がありません。売上が少なくても、この人のために働きたいと思えることが多く、人柄や共感を大切にしています。
本当に困っている会社や潰れそうな会社もサポートし、その人が生きている限り会社を存続させたいという思いで取り組んでいます。お金だけではなく、人との関わりや支援に重きを置いている点が独立して良かったと感じる理由です。妻もこの考えに共感してくれているので、二人で力を合わせて取り組んでいます。
まずは早めに独立することをお勧めします。経験は独立してから積めば良いので、経験が少ないからとためらわずに飛び込んでみてください。私も税理士経験がほとんどない状態で独立しましたが、何とかなるものです。周りの先輩や同僚からのサポートもあり、独立後も多くの助けを得ることができました。
独立してからも、経営者の集まりや地域のコミュニティに顔を出すことが大切です。私も青年会議所に参加し、多くの経営者と交流することで、仕事の幅が広がりました。また、SNSを活用することも有効です。Xで日常のことをつぶやいていたところ、税理士を探している方から連絡があり、お客様になっていただいたこともあります。
挑戦を応援しています!