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専門家インタビュー

監査法人から転身し地元のスタートアップ企業を支援しているワケ

大手監査法人にて、多種多様な業種の会計監査業務に従事するとともに、株式上場(IPO)支援をメインとするアドバイザリー部門を兼務することで、数々の課題設定と課題解決業務を提供。2022年に独立し、住まいである埼玉県さいたま市にて片山裕介公認会計士事務所を開業。また、個人事務所を営む傍ら、2024年より地元である宇都宮市のコンサルティング会社「株式会社toiroコンサルティング」の取締役として関与。

2022年に独立し、スタートアップ企業の支援などに力を入れている片山先生に会計士を目指したきっかけや力を入れている取り組みについてお話を伺いました。

会計士を目指したきっかけを教えてください

会計士を目指そうと思ったのは高校3年生の冬ですね。友人が「公認会計士って儲かるらしいよ」と話していたので会計士という職業について調べてみたら、会社を客観的に分析し、企業の成長や成功の要因を理解することができる仕事だと知り、非常に魅力を感じました。
 
元々は親が自営業を営んでいて、将来的には家業を継ぐことを期待されていたのですが、会計士の資格が社会的にも認められる国家資格の一つであるため、親も応援してくれたんです。ついそのときまで文学部を志望していたのですが、急遽志望校も変更することにしました。
大学に入学してからは、多くの会計士試験合格者を輩出している学内の予備校に入り、初めは簿記3級から勉強を始めることになります。
 
大学の中で同じ目標を持った気の合う仲間たちと出会えるため、励まし合いながら朝から晩まで一緒に勉強し、オフの日にも一緒に遊んでいました。はじめは毎年学内に400人ほど入ってくる学内予備校の生徒が、現役で会計士試験を受験するまで残るのは20~30人でしたかね。その中に残ることができたのは、間違いなく仲間たちと共に励ましあいながら努力を続けられたおかげだったと思います。
 

大学卒業後は監査法人で勤務されたと伺いました

はい、新卒で監査法人に入社して、東京(本社)の監査事業部で約11年間勤務しました。主に上場企業の会計監査業務を担当し、その他にもIPO支援や内部統制の支援など、幅広い業務に携わりました。監査業務は、企業の財務状況をチェックし、間違いや不正を見つける仕事です。
 
そのため、企業側からはどうしても歓迎されないことの多い立場ですが、そんな仕事でも時折「ありがとう」と感謝されることがありました。企業の改善点を指摘し、それが実際に改善されたときに感謝の言葉をもらうと、自分の仕事が価値を認められたと感じ、大きなやりがいを感じました。
 
例えば、ある上場企業の監査を担当していた時のことです。その企業は急成長しており、内部統制が追いついていない部分がありました。私はその点を指摘し、具体的な改善策を提案しました。最初は企業側も難色を示しましたが、最終的には私の提案を受け入れてくれ、内部統制を強化することができました。結果、企業の業績も安定し、経営陣から感謝の言葉をいただいたときは非常に嬉しかったです。
 
一方で、辛い経験もありました。特に、企業の不正を発見し、それを訂正させる業務は非常に大変です。不正を見つけた場合、その全容を解明し、正しい財務状況を把握するために多くの時間と労力を費やす必要があります。具体的には、ある企業の経営者が会社の資金を多額に流用していたケースがありました。その不正を発見し、訂正させるために、短期間で相当ハードなネゴや調査もありましたが、最終的には正しい財務報告を実現することができました。
 
監査法人には強制的な捜査権がないため、企業内部の記録を調査する際には多くの制約があるのとともに、企業側からの多くの協力が必要です。そのような状況下では特に企業とのコミュニケーションを重視し、こちらの要求する解決方法を期限の迫る中で的確に遂行してもらうことが重要です。企業側で出来ることの限界までを引き出しながらも、期限が迫る中で監査意見を出せるところまでやり切ることが大変でしたが、なかなか得難い経験だったと思います。
 
その後はさいたま事務所に異動しおよそ6年勤めました。ここでも引き続き監査業務に従事しましたが、クライアントは地方の中堅企業の経営者で、大手企業よりもマネジメント層と距離が近く、より深いコミュニケーションをとりながら密に仕事ができたことと、東京事務所に比べて少ない人数の事務所において、その運営に直接携われたことは、その後の自分の独立開業につながる貴重な経験でした。

開業に至った想いを教えてください

監査法人での経験の中で魅力を感じたのは、上場支援の仕事です。上場を目指す企業に対して、必要な課題を100~200とリスト化し、その改善を求めたり、企業が作成した上場申請書類をチェックしたりするのが主な業務です。
 
しかし、監査法人という立場上、企業からは独立した存在でなければならず、企業の内部に直接手を入れて改善することはできません。この制約にもどかしさを感じることが多々あり、一方で企業が本当に求めているのは、課題をしっかりと内部で改善してくれる存在であると感じ、そのニーズに自らが追うことのできる責任範囲で応えたいという思いが強くなっていきました。また、家業が祖父の代から自営業だったことで、自分がオーナーシップをもって仕事をしている姿を見て育ったため、これらの理由で独立開業を自然に決意していました。
 
独立後、最初は監査法人時代のクライアントからも引き続き支援を求められたことが嬉しかったです。先ほどお話ししたように、監査法人は企業から独立した存在である必要があるため、監査法人が指摘した企業の課題をフットワーク軽く改善できる存在は重宝されました。
 
そのため、在籍していた監査法人とも良い協業関係を築くことができています。当時のクライアントから「手伝ってほしい」と声をかけられると非常に嬉しく、独立開業したことで、より深く企業の内部に入り込み、具体的な改善策を提供できるようになったことに大きなやりがいを感じています。
 

力を入れている取り組みを教えてください

個人事務所では、上場企業に対する決算支援の他、IPO支援及びM&A支援(財務デューデリジェンス)を行っています。また、スタートアップ企業のCFO的な役割を代行して、資本政策の立案や事業計画の策定、また投資家候補との資金調達のための直接の交渉にあたることなどもしており、監査法人時代から比べて提供できる業務の幅は劇的に広がりました。
 
17年間の監査法人経験で徹底的に培った会計専門家としてのベーススキルは当然役に立つものですが、各サービス領域特有のスキルも常に勉強しながら応用させていく必要があるため、常に新鮮な気持ちで仕事ができていると言えます。開業後半年程度経過した頃に、支援するスタートアップ企業が、自分の人脈の中からの紹介で繋がった投資家から資金調達でき、結果としてその企業のサービス展開や事業拡大に寄与できたことは大きなやりがいでした。
 
今後も、上場に向けたサポートを行うとともに、スタートアップ企業が直面する課題に対して、具体的な解決策を提供し、彼らの成長をサポートすることを目指しています。
 
また、地元である宇都宮に貢献したいという気持ちを持っていた中、監査法人時代に関与していた宇都宮のスタートアップ企業の仕事で知り合って仲良くなった方が設立した宇都宮のコンサルティング会社に役員待遇で声を掛けてもらい、一緒に地元の中小企業をメインに支援しています。私の公認会計士事務所の他、税理士事務所及び司法書士事務所とそれぞれ提携して、各士業の専門的な知識を活かして具体的な解決策をワンストップで提供し、企業の成長をサポートする会社ですが、設立からまだ1年ほどなので、組織を作り上げていくことにもやりがいがあります。地元の仲間とともに、この地域から日本の経済活性化に寄与することも目指しています!
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