法政大学経済学部在学中に公認会計士に合格後、有限責任監査法人トーマツ・PwC税理士法人等を経て、稲垣大輔公認会計士事務所を設立。 現在は、IPO支援・システム導入支援、内部統制構築支援およびシステム監査、DX推進コンサルティング等の業務に携わる。
今回インタビューした稲垣先生は、プログラムに精通し、システム開発・システム導入支援を行っています。ITに強い公認会計士としての現在に至るまでの道のりを中心に興味深いお話をたくさん伺えました。
私は大学の付属校出身で、受験経験がないまま大学生になりました。大学生活を送る中で、「どこか人生で一度はしっかり勉強しないとまずいな」と思っておりました。また、自営業の家庭であることからサラリーマンになるイメージも持てないため、何かしらの専門性で食べていくのが合っていると考えていました。経済学部に入学したこともあり簿記の勉強を始めたところ、性に合っていたようで、勉強にはまってしまい、そのまま在学中に公認会計士試験に合格しました。
卒業後は監査法人に就職しました。IPOの部署に所属し、中規模の企業や準備企業等を数多く担当しました。退職後は、監査法人時代の先輩等と連携しながら、事業会社等のサポートをするなど、様々な業務を行いました。これらの経験を通じて事業会社に関する知見を深めていきました。この時期にプログラムについても勉強しており、会計や税務のシステムについての知識とスキルを習得しました。
会計業界にはITに詳しい人が少ないので、この業界でITの第一人者になれば、様々な業務でニーズがあるのではないかと考え勉強を始めました。実際やってみると非常に奥が深く、のめりこむタイプの私には合っていました。そういう意味では「趣味」としてやっている部分もありますね。プログラムの勉強は独学です。周りのエンジニアにアドバイスを受けたりはしましたが、基本的に自分でいろいろ勉強しながら試行錯誤してやっています。
私の事務所の強みは、会計業務だけでなくシステム関係の業務を行っているところです。クライアントの業務改善のためのシステム導入のみならず、税理士事務所向けのシステム開発や導入支援も行っております。この分野の専門性には自信があり、過去には税務申告ソフトの開発サポートを行ったこともあります。また、何冊か会計とシステムを組み合わせた書籍を出版した経験があることから、このようなお声がけをいただきました。
最初の書籍がご好評いただいたこともあり、中央経済社から前述の連載をまとめた書籍を出す機会をいただきました。2冊目の書籍ということで、とても嬉しく思っています。
この書籍の対象読者は、プログラミングに興味のある経理担当者です。ちょっとでもプログラムに興味がある会計人材の学びのきっかけにしていただきたいです。プログラミングについての記述で、少し難しいところはありますが、可能な限り分かりやすく、実務で使いやすく書いていますので、経理担当者には、興味があるところだけでもいいので、ぜひ読んでいただきたいです。
やはり今後はシステム導入を含めた会社の業務効率化を進めていきたいです。新しいシステムというのは、使い方や効果がイメージできず、拒否反応を起こす方も少なくありません。「こういうのを使ったら、こういういいことあるんだよ」というのをお客様にしっかりと伝えて、システムを使った生産性、業績の向上の取組みをどんどん広めていきたいと考えています。私がお客様に広めていくことで、税理士のやり方そのもののアップデートにつながっていったら嬉しいです。
また、社労士や弁護士などの他士業からシステム部分だけ手伝ってくれないかという相談を受けることが多いので、そのような他士業とのコラボみたいなことも積極的に行っていきたいですね。