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専門家インタビュー

“非常識”なフリーターがChatGPTを使いこなす会計士になったワケ

大学卒業後、フリーター時代にCDショップ、飲食店アルバイトなどを経て、会計士を目指す。監査法人トーマツで金融機関を5年ほど担当し、独立。現在は、セブンセンス税理士法人でスタートアップ企業の資金調達などの業務に勤しむ。

フリーターから税理士、ChatGPTの使い手に、、、異色の経歴を持つ大野先生に、お話しをお伺いしてきました。

税理士を目指したきっかけを教えてください

少し前置きが長くなりますが、、、私は岡山県倉敷市の出身で、高校はわりかし進学校で勉強はすごく好きだったんですけど、テストがすごく嫌いなせいでセンター試験を失敗してしまったんです。当然志望校に行くことも叶わず、それなら行きたいところに行こうということで東京に狙いを定め、東京のとある大学無事合格しました。ただ、何か目標があって入った大学でもなく、本当に4年間遊んで過ごしましたね。卒業後は、そのままフリーターでそれはそれで楽しんでいたんですが、アルバイト先の社長から、「親に大学費用を出してもらってバイトでいいのか。今度飲食店を出すからそこの立ち上げを手伝えよ」と言われて。飲食店の経験はなかったんですが、おもしろそうだと思って立ち上げを本当に0からやったんです。内装、メニュー、アルバイト採用、チラシ案内とか、そこでなんとなく経営というのに触れて、あ、これおもしろいなと。ただ、元々飽きっぽいから、経営者というよりは、いろんな経営を見て楽しめる仕事がいいなというのを当時ぼんやり思った記憶があります。
こういうのを経営コンサルタントというんだろうと思い、その資格を取りに水道橋の専門学校を回ったんですが、そんな資格はないと言われ。こんな自分は資格を取ることも叶わないのかと嘆いていたら、「非常識合格法」と書いてあるクレアールという専門学校が目に入りました。今まで非常識な生き方をしてきたことの巡り合わせのようなものを感じて門を叩いたら、公認会計士という資格があるよと教えてくれました。ついでに簿記の授業も勧められ、そこから会計士の勉強をし始めたという感じです。
 

その後、トーマツに勤めたと聞きました

勉強を始めて3年目が29歳の年だったんですよ。30歳になる前に就職しておきたいなというのと、2007~8年頃、監査法人が大量採用をしていたということもあり、まだ論文の合否が出る前ではありましたが、面接を受けてトーマツに就職しました。トーマツでは、人気だった金融部門に入って銀行や保険、証券とかの監査を5年間ほどやりましたね。その間、トーマツもリーマンショックの影響を受けたり、保険会社の統廃合があったりで忙しい日々を過ごしていました。その後、東日本大震災による節電対応の影響で劣悪な環境のなか1年ほど働きましたが、ちょっとこの働き方を生涯つづけることはできないなと思ってもともとなりたかった経営コンサルタントになるために独立しました。

独立時に意識したことはありましたか?

私のことをかわいがってくれていたトーマツのパートナーから外資系の保険会社での仕事は紹介してもらえたのですが、他はあまりお客さんが来なかったんですよね。お客さんに来てもらうために色々考えるなかで、何万人もの先輩方がいるところで税務が得意ですって言っても説得力ないし、絶対勝てないだろうなと思ったんですよ。その代わり、資金調達が得意ですって言いました。トーマツ時代は金融部門にいて銀行の監査もよくやっていましたし。少し大げさに言いましたけどね。そうすると結構ニーズはあり、お客さんと一緒に試行錯誤して頑張りましたね。今はスタートアップと言うと思いますが、ベンチャー企業の人たちと接するのもすごく好きでたくさん関わりを持ちましたね。エクイティと融資の両面からアドバイス支援できる人って実はあまりいないようで、かなり喜んでもらえて、それが今のお仕事にも繋がっているという感じです。

先生はChatGPTを活用していますが、GPTは税理士の仕事を奪うんですか?

僕が独立した一つのきっかけに、クラウド会計ソフトの登場がありまして、人間が考えて仕訳を切るのではなくて、AIが予測して仕訳を切って人間がチェックする、すごい時代が来たなと。
そして、ChatGPT。それまではAIに仕事を奪われるという話があったときに、忙しくて仕方ないから次々奪ってくれと思っていたんですが、GPTが出てきて奪われるのも時間の問題だなと本当に思いましたね。何ができるかってよく聞かれるんですが、正直何でもできます。こないだ僕が支援しているスタートアップの方から、「増資をする時の注意点をGPTに聞いたんだけどそれが合っているか」と連絡が来たんですよ。それがしっかり合っていて。まだ当分は確認の連絡が来るかもしれませんが、そのうち確認の連絡すら来なくなる。だって人に聞くのって申し訳ないじゃないですか。もちろんGPTが間違うこともありますが、人間の方がよく間違うんだから、お金もかかるし、気を使うし、不要になりますよね。
そこはちゃんと考えた方がよくて、考えないとまずいと思ってるんですよ。このAIというのは自分の意思では仕事を奪ってこないんです。結局、AIで仕事を奪うのは人なんです。そう、今までと同じなんですっていう話をすると、皆さんちょっと安心するんです。ただ、よく考えてくださいと。今自分が誰かの仕事をAIで奪っているという感覚がないのであれば、多分もう奪われる側に回っちゃってるんですよ。それは別に会計業界だけじゃなく、全てのホワイトカラーが奪われる可能性がすごく高まってるということです。だからそのことを意識し、お客さんのためにも、自分のためにも、時代に対応していくことが必要かと思います。
 
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