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専門家インタビュー

人がやれないことだけをやる|シミュレーションソフト開発と書籍執筆が特色

1952年 香川県生まれ。
1976年 慶応義塾大学商学部卒業。
1979年 公認会計士試験合格同時に、PwCあらた有限責任監査法人に入社。
1982年 辻・本郷 税理士法人に入社。
1984年 株式会社 日本投資環境研究所(みずほ証券の子会社)に入社。
1987年 株式会社鹿谷総合研究所の設立と公認会計士鹿谷会計事務所の創立。
※ 勤務先名はいずれも現在の名称

鹿谷先生は監査法人や会計事務所、証券会社の子会社など様々な経験を経た後、独立後は不動産オーナー支援に特化された先生です。得意分野はソフト開発と書籍の執筆。先生ならではの強みを生かすために事務所のコンセプトも「人がやれないことだけをやる」。とても気になる鹿谷会計事務所取組の実態と実際を詳しくお話しいただきました。

会計士になろうとしたきっかけを教えてください

高校時代から会計士に興味があったのですが、大学進学後は陸上に打ち込んでいました。ただ、一般企業に就職するつもりは全くなかったので、このまま陸上競技を続けていくことに疑問を感じ、大学2年生の時にやめてしまいました。しばらくは書道部に籍を置きながら法律の世界に興味を覚え様々な専門書を読んでいたところ、友人が簿記の勉強を始めたということもあり、自分も勉強を始めました。

元々、簿記があまり好きではなくて、勉強には苦戦しましたが、大学卒業の3年後にはどうにか合格して、1979年に監査法人に就職しました。ただ、監査法人での仕事があまり自分に合わずに体調を崩したこともあり、監査より税務の仕事がやりたいという思いが強くなり、転職して辻・本郷 税理士法人に入りました。その後、バブルの時代の後押しもあり、盛況だった証券会社の関連会社である日本投資環境研究所(現・みずほ証券の子会社)に入社し、相続・事業承継対策をメインに様々な業務を経験しました。そうこうしている内に私も35歳になったこと、いつまでもこんな好景気が続くわけはないという思いもあり、独立する機会はここしかないということで、1987年に公認会計士鹿谷会計事務所を開業しました。

事務所の特色を教えてください

うちの事務所は不動産オーナーを対象として、通常の決算・申告だけでなく土地の有効活用など生前の相続対策から相続税の申告まで関連する業務全てをサポートしています。これだけでも異色と言えますが、うちの事務所には二つの大きな特色があります。1つは、相続や不動産に関わる様々な専用ソフトの開発・販売です。私はもともと、ソフトをいじるのが好きだったということもあり、独立後、それまでの経験をもとに開発した相続対策シミュレーションソフトを全国の会計事務所に販売しました。地価税が導入された当時には、「地価税対応土地評価システム」を作って上場会社を中心に販売しました。また、農地の宅地並み課税がスタートした平成4年には、専用ソフトを開発して都市農家向けに始めたコンサルティングがNHKや日経新聞などで紹介され、数多くの実務を経験させていただきました。

そして、現在は不動産業者が地主の方に土地活用の提案をする場合に必要となる事業収支計算ソフトを中心に販売しております。このように会計事務所でありながら様々なソフトを開発・販売するというのが特色となっています。

もう一つは執筆活動です。辻・本郷 税理士法人に勤務していた時、専門雑誌に何度か出稿したことがあるのですが、辻先生から私の原稿を何度も校正していただき、文章の基本を身に付けることができました。感謝しかありません。また、処女作である「相続対策失敗事例集」を出版していただいた新評論という会社は取引銀行からの紹介ですが、その後も何度も出版の機会をいただいています。

因みに私の本が自費出版ではないかとの噂をネットなどでたまに見ることがあるのですが、全て商業出版です。印税もシッカリといただいています。本の執筆はかなりの時間とエネルギーを要するのですが、書くことで自分の考えが纏まるだけでなく、ビジネスチャンスにもなります。驚かれるかもしれませんが、私のところのお客様はほとんどが本の読者です。それもかなりの大地主です。事務所にいらっしゃる際に、私の本を何冊も持参され、サインを求められることもよくあります。私自身難しいのが苦手ということもあり、事例をたくさん入れて、理解しやすいようにしているのですが、それが好評のようです。

これから、やってみたいことを教えてください

ライフプランのソフトを本格的に開発したいと思っています。簡単にシミュレーションできるソフトは様々なところから出ていますが、不動産所得のない普通のサラリーマンを前提にしているものがほとんどです。我々の事務所では不動産オーナーを対象とした本格的ライフプランのシミュレーションソフトを自社開発して実務で使用しているのですが、一般の方が自分で使うには難解すぎるのです。

そこで不動産経営に関する知識がそれほどなくても賃貸マンションなどの収益物件を取得した場合のシミュレーションができるソフトを開発したいと考えています。そのための準備として、ここ数年、クラウド用の開発言語の勉強をしています。新しいソフトは是非クラウド版で作りたいですね。

今後の事務所運営について教えてください

現在、鹿谷会計事務所ではお客さんを絞るという取組をしています。うちの事務所は、専門性が高く規模も大きな案件が多いことから、かなりの経験者でないと対応が難しいのです。そのため新人の採用がなかなかうまくいかず苦慮していました。そこでいろいろ考えた結果、お客様の数に合わせて社員の数を増やすのではなく、現状の社員で対応可能な数までお客様の数を絞るようにしています。何十年も確定申告してきたお客様が多いのでお断りするのは大変申し訳ないのですが、私も71歳になることから、これからは、「人がやれないことだけをやる」というコンセプトで、事務所運営をしていこうと考えています。

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