お問い合わせ

お電話(平日9:00~17:30)

フリーダイヤルのアイコン 0120-00-8377 メールのアイコン メール

専門家インタビュー

税務を超えて、お客様の選択肢を増やせる存在に

東京都出身。大学卒業後、銀行で融資渉外行員としてキャリアを積んだのち、平成22年に税理士登録。令和2年に山口翔税理士事務所を開業。税務調査。スポット相談。銀行融資が得意の三本柱。「ヘヴィ・メタル税理士」としてYouTubeでも活動中。

2020年から横浜市青葉区に事務所を構える山口翔先生。銀行員時代に出会ったある税理士の「最強になれるよ」の一言で、自身も税理士を目指したのだそうです。独立までの経緯から今後の展望までを語っていただきました。

税理士になるまでの経緯を教えてください

大学卒業後、銀行で営業として働いていたんです。当時、朝7時から夜の22時まで働く毎日で、結婚して妻と娘がいるのに、平日に彼女たちと話している記憶があんまりないんですよ。 妻にワンオペで育児をさせてしまっていたし。ある時急に「あれ、俺の人生これでいいんだっけ?」 みたいに思ったんです。当時まだ25、26歳で若かったから、いろんなことで悩む時期ではありましたが。
それで、もう会う人、会う人にインタビューしていたんですよ。当時、取引先は企業の社長さんや資産家が 中心だったんですが、「なんで社長になったんですか?」「なんでそんなお金持っているんですか?」「社長って楽しいんですか?」みたいに、100人以上に聞いて回りました。
 
取引先にベテランの税理士がいたんですが、ある時その先生に「人生で迷ってるのか? 仕事を辞めようとしてるのか?」と聞かれたんです。僕がそうですと答えたら、先生は「きみは銀行でそれだけ融資をやっているんだから、税理士になったら最強だよ」って、陽気に言ったんです。
先生が言うには、まず税理士は稼げると。で、モテるぞと(笑)。 そして、「銀行員を辞めたら銀行員じゃなくなる。税理士だったら、よっぽど何か悪いことしない限りはずっと税理士でいられるからいいんじゃない?」と語ってくれたんです。あんなにベテランの先生が、僕に「最強」と言ってくれた。その言葉に揺さぶられた。 外回りの最中だったんですが、話し終わったら漫画喫茶に行って、税理士について調べて、その日に税理士になることを決めました。
 
税理士がどんなものかは銀行員という仕事柄知っていて、商学部だったので簿記論などの知識も土台がありましたし、試験制度も多少は知っていたつもりでした。でも実際に受けてみると、めちゃくちゃ難しくて……苦労したんですが、あの時「最強だぞ」と言われてから、僕の目線はもうそっちなんですよ。もう会社員をやめよう、一人で生きていこう。そうしたらもう税理士しかないから、辛かろうがなんだろうが受かるしかない。そういう覚悟があったんです。それに「最終的に最強になることはわかってるから、自分」みたいな。あの先生の言葉が支えになりました。
家族も応援して支えてくれましたが、平日は銀行員として働いて、土日は資格の勉強をしていたので負担をかけました。彼女たちと一緒にいる時間を作りたくて税理士になったので、今は恩返しをしているところです。

独立までのエピソードをお聞かせください

29歳の時に転職して、税理士事務所で働き始めました。まず感じたのが、銀行との雰囲気の違い。銀行員って男女比半々くらいで、支店は社員が若いので学生サークルのようなノリもあった。でも転職先は、20代が僕しかいない事務所だったんです。40~50代の男性ばかりで年齢層が高くて、仕事のやり方も紙ベースで、文化の違いを感じました。中にはお客様に高圧的に接する人もいて……僕は絶対そういうことをしないようにしようって思った。お客様を尊重して、なるべくポジティブなことを言うようにしていました。僕のそういう姿勢を気に入ってくださるお客様もいて、ありがたかったですね。
税理士事務所に転職した時から、独立は意識していました。最初から、組織で上に行くためではなく、自分がどうやってお客さんに貢献できるかを考えていました。 そうすると、事務所にいる期間が長くなるほどに、自分のやりたいように働きたいという思いが強くなっていったんですよね。 僕を気に入ってくださるお客様に恵まれて、実績もついてきたタイミングで、2020年に独立しました。

日々の業務に取り組む中で、特に意識していることはありますか?

僕は一人だけの事務所なので、一番は、効率化を意識して、ITをベースに考えるっていうことです。紙ベースはやめて、むやみやたらに人に会うのもなるべくしないようにしています。効率化のためにもPCなどの機材にはしっかり投資しました。Macを使っているんですが、圧倒的に性能がいいんですよ。速い・バッテリーが持つというだけでも、積み重なると時短になるんですよね。こういう知識は、井ノ上陽一さんというIT系のカリスマみたいな税理士さんを参考にしています。
 
一方で、お客様一人ひとりへの向き合い方は丁寧にしているつもりです。
法人のお客様がほとんどなのですが、「すごいですね」「かっこいいですね」っていう言葉は言うようにしています。本当に純粋にそう思っているからなんですが、自分で会社経営して、社員の方を雇っていることに対するリスペクトしかないんです。職業柄、経理や税法に関する知識は僕の方がありますが、人生で言ったらお客様たちの方が上だと感じます。
あと、面談の時は嫌味たらしく「最近悩みなんてもうないですよね?」とか言ってみると、「そんなことないわ!」みたいに返ってくるので、ひたすら聞くんです。 「悩みありますか?」と「悩みなんかないですよね」。 を使い分けてお話を聞くと、お悩みを打ち明けてくださることが多いですよ。今は取材なので、僕も結構しゃべっていますけど、お客様との面談では聞き役に徹して、話を広げることを意識しています。
 
一人で事務所を運営している怖さもあります。 一番はミスですね。ぶっちゃけて言うとずっと不安です。 やっぱり、どこかミスしているんじゃないかなって。申告書などを作る時はチェックリストを作って、見返すようにしています。あとは、お客様とかの打ち合わせも、今だったらメモアプリに打ち込んでいますね。こういったものを見返すことで不安を打ち消すようにしています。わからないことがあったら、その分野に詳しい人に聞きに行っています。セミナーやSNSで発信されている人や、個人的につながりがある人も頼ります。

お客様に言われて印象的だったことはありますか?

有難いことに、「山口さんで良かった」って言っていただける機会が結構あるんです。
ある時、税務調査ではないんですが、顧問先の企業に調査が入ったことがありました。この調査の対応は税理士業務じゃないんですけど、社長一人に対応させちゃっていいのかな? と心配になって。 仮に僕が何もしなかったことで調査で大事故が起きても、全然僕のせいじゃないんですよ。税務じゃないので。 でも放っておけなくて、サポートしようと思った。調査官との面談も僕が社長の隣で立ち会って、資料も僕が用意しました。そうしたら、税理士業務じゃないことまで力になってくれたって感謝されて「本当に山口さんでよかった」みたいな言葉をいただけました。
 
その時、税理士業務じゃないことでも喜ばれるっていうのは楽しいなって思ったんです。税制で「これを節税しました。何百万でした」っていうのも当然対応するんですが、それって税理士なら当たり前。税務じゃないところで、たとえば「Excelはこうやったら面白いですよ」とか、「ChatGPTは使っていますか? すごく優秀ですよ」とかを教えて褒められることが、最近は面白いなと思っています。 もう税理士業務が 13~14年目ぐらいになり、 税務業務は日常になっているので、ある意味日常じゃないところの方が印象深いです。

今後の展望をお聞かせください

僕は税法とか税務とか業種を絞っていないので、「山口翔さんに依頼したいんだよ」って
言ってもらえるようになりたいと思っています。
スポットで仕事の依頼が来るってことがあるんですけど、やっぱり嬉しいのが、「どの税理士さんでも答えてくれると思ったけど、山口さんに熱量を感じたから申し込んだんです」って言われること。 だから、指名で依頼されるようになりたいなって思います。
 
「僕と付き合うと選択肢が増えます」って、お客様にはよく言います。 お客様の手札となるカードを増やしたいんです。「何か 1個しか選択するしかない」と思い込んでしまっている方に、あっちにもこっちにも道がありますよって。
ただ、僕からどの道を選ぶべきかを示すことはありません。選択肢の中でどれがいいのか僕はわからないし、今日の僕だったらこっちに行くけど、明日の僕だったらあっちに行くかもしれませんって……優柔不断に聞こえるかもしれないですけど、そうすると、もうお客さんは決断していたりする。その決断を僕はサポートします。そんな風に、お客様に寄り添いながら選択肢を増やせる、カードを増やせる税理士になりたいなって思っています。

開業を考えている方にメッセージをお願いします

本気で独立を考えているなら、思い立ったらまず独立しちゃった方がいいと思います。独立した後でどうやるかを考えた方がいい。一人でやろうが、何百人も雇おうが、どういうスタイルでもいい。絶対に人生が変わる。全員が全員絶対うまくいく保障はないし、簡単じゃない。でも絶対にやった方がいい。失敗して、仮に会社員に戻ったとしても、以前と中身が違うなって思うはずです。
独立してみなければわからないことがいっぱいありました。変わるんですよ、世の中の見え方が。僕は独立したことで、人をすごくリスペクトするようになりました。独立しようって思っている人たちは、どんな仕事であれ、独立してほしいなって思います。
single_banner