IT企業、準大手税理士法人、PwC税理士法人(中国出向を含む)を経て、2023年に税理士事務所開設。中小企業などの税務顧問と税務申告業務に加え、国際税務ならびに海外上場企業を親会社に持つ日本子会社の申告業務と海外進出などに従事。特に、中国に約3年間にわたった出向期間中、現地日系企業に中国税務アドバイスを中心としたコンサルティング業務を幅広く提供。
中国税務に詳しい矢野先生に、税理士になったきっかけや今後の展望をお伺いしました。
まず手に職を付けたいという気持ちがありました。元々法学部の出身なので弁護士という選択肢もあったんですけれど、日常生活にも役立つような職業がいいなということで、税理士や会計士を目指しました。大学院時代、税理士を目指しているゼミの友人が多かったという環境もあったと思います。もう一つ税理士を目指すのに私に合っていたところは、1科目ずつコツコツ努力すれば取れる資格ということです。仕事しながら1科目ずつ取っていけるので、継続は力なりというか、そういう意味では頑張れば届かないものでもないなという感覚を持つようになりました。大学院のときに目指し始めて、最初は簿記の3級からスタートしました。仕分けが面白くなって、とんとん拍子で1級までとって、本格的に税理士の勉強をはじめました。
はい、ありますね。すごく実感しているのは、自分の知識というよりも、まずお客様の取引と業務を理解することがとても大事だなと思うんです。理解するのは大変ですが、それが実務経験につながるものでもあります。また、お客様から相談されることは、調べることで勉強になるものも多く、逆にお客様に教えられているような気がします。毎年税制改正がありますが、実際に実務で携わらないと記憶に残らないんですよね。ですので、そういう意味で、どれだけ業務をやるかにかかっています。また、業界やお客様によって全然違うし、考え方も違うじゃないですか。例えば税務上の観点からはこうした方が望ましいというのがあったとしても、実際には取引は税法の都合に合わせるようなものじゃなくビジネスありきのことなので、ビジネスに合わせた何がベストなのかを考えることが大事だと感じています。そのため、アドバイスの時は配慮しなきゃいけないところでもあるなと思いますね。あとはお客様にご判断いただくということも大事ですね。リスクの所在をはっきりさせるという意味もあります。