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専門家インタビュー

自分自身がブランド! 国税経験やSNSを上手に活用

大学卒業後、国税局入局。辞職後、税理士法人や企業勤めを経て、2020年に事務所を設立。国税専門官の実務10年以上の経験を生かした対応で顧問先の悩みを解決している。

SNSで有名人となっている石野先生に、税理士になったきっかけや事務所の強みなどをお伺いしました。

国税出身とお聞きしました

はい、国税出身でして、元々は税理士になることは全然考えていませんでした。大学は法学部だったのですが、簿記2級や宅建などの資格を取りつつ、所属していたゼミで公務員試験を受ける友人が多かったので、自分も受けるのかなと漠然と思っていました。学生時代から資格をたくさん取ろうと思ったのは、大学時代に父がリストラにあって再就職先を探すのに苦労している姿を見て、手に職をつけることの重要性を感じたからですね。民間企業の就職活動が終わった大学4年生4月くらいから1日十何時間勉強して、当時の国家公務員試験2種(現在は、国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験))と国税専門官試験に受かったんです。公務員の中だったら、専門的知識を駆使して社会悪と戦うというイメージがある国税専門官がかっこいいと感じ、国税を選びました。
 
国税に入ってからは、出世したいという想いで、仕事が終わってから、図書館で税務調査の暴露本などを片っ端から読み漁りました。 また、税務にリンクする周辺知識・一般常識を深めるために、ファイナンシャルプランナー2級、証券外務員Ⅱ種資格、秘書検定を取得しました。というのも、初めての調査で緊張し、全く喋れなくて、何もできなかったんです。その夜、先輩に飲みに連れて行ってもらいましたが、自分の不甲斐なさが悔し過ぎて先輩の前で涙が止まりませんでした。負けず嫌いなので、社会人1~2年目は、飲み会や遊びの誘いがある時以外は、仕事終わりに図書館に直行していました。
 
知識が増えていったことに呼応するように、自分には映像記憶能力のようなものが周囲の調査官達よりも秀でていることを自覚し始めました。例えば、確定申告の還付をする際の審査で、給与所得者の医療費控除適用の申告書をめくっていたら、源泉徴収税額や還付金の額に違和感があり、一度はスルーしたものの、審査を進めていくと、あれ?このパターンの申告、前も見たことがあるぞ、というような。結果、源泉徴収票の偽造及び3年分の医療費控除の不正還付であることが判明しました。
 
当時、私が所属していた部署では、上司が選定した調査案件の中で調査したい事案を自分で選ぶことができました。自身の不正を察知する嗅覚と上司や先輩方のサポートのお陰で、数々の不正を発見することができました。結果、入局2年目で優良事績発表会に呼ばれ、国税局長から表彰されました。国税の人事制度上、最速記録だと思います。また、周囲は、不正が見込まれる情報を予め持っている調査事案に対し、事前情報も何もない一般的な事案で表彰されたのは私だけだったので、不正に気付く能力には確固たる自信を持つことができました。
 
ただ2年目でいわゆるMVPに選ばれたことで、私の熱が少し冷めてしまいました。国税専門官は不正・脱税を摘発するのが仕事なので、脱税を発見すると達成感が味わえ、嬉しく感じる反面、何も見つけられないと現場の職員としては、どうしても残念な気持ちになってしまう一面もあります。本来、真面目に申告されている方のところに調査に入り、何も不正がないというのは称賛すべきことなのに、それを残念、上司にどう説明すればいいのだろうか?と感じてしまう自分の感覚に「俺の人生はこれでいいのか…?」と、人生観に疑問を持つようになっていました。また、優良事績を受賞したことで、若干天狗になってしまった面もあり、第一統括には嫌われてしまい、国税局にはいけず、地方の税務署へ飛ばされました。この頃から将来税理士になる道を意識し始めていました。

独立したきっかけを教えてください

国税組織で課税セクションに10年間勤めていると税理士試験の税法3科目の試験が免除になります。辞めたくなる衝動に駆られる出来事も多々ありましたし、逆に楽しい思い出も沢山あります。税理士試験の簿記論と財務諸表論に受かったことで、13年働き、お世話になった国税組織を辞職し、その後は医療特化型の税理士法人に勤めました。その税理士法人は、所長の方針で、サイボウズ、Chatwork、dropboxなど、様々なITツールを導入していました。紙とExcelとWord文化の国税との差に、カルチャーショックを受け、感動しましたね。
 
その一方で、自分の得意税法や国税での経験が活かせず、苦労しましたし、クライアントは大きい法人ばかりで、経営者の町医者的な存在でありたいという当時の自分の想いとのギャップを感じていました。そんな時に、ひとり税理士として情報発信しておられる井ノ上陽一先生の講演を受ける機会がありました。井ノ上先生は、「自分の強みも弱みをも、徹底的に自己開示して、気の合うお客さんとだけ付き合えっていけばいい。」という話をされていて、衝撃が走りました。講演をきっかけに自分のキャリア・スキルの棚卸しを行い、自分が戦える領域は何かと模索し始めました。そして、当時勤めていた職場はどうかと考えたときに、私の得意分野との親和性が薄く、周囲に追いつくには最低2、3年の時間を要すると感じました。自分が必要とされ、かつ自分が興味の湧く仕事にいち早く辿り着きたい想いで、本格的に独立をしました。

事務所の強みを教えてください

業務の効率化です。個人事務所なので出来ることに限界はあるのですが、私は国税時代から手書きや郵送など自身が無駄と感じる作業が大嫌いで、国税時代でもExcelマクロを組んで、業務効率化に資するシステムを自作していました。採用では、ITに強い方や元SEの方にアルバイトで入ってもらって、DX化のアドバイスをもらったり、業務効率化に資するガジェットを選定してもらったりしています。正確性をきちんと担保しつつ、効率・スピードを求め続ける。そこが弊所の売りです。「楽をするための努力を惜しまない」のが弊所のモットーです。
 
また、国税の調査現場に長く従事していたので、担当調査官とその上司である統括官の経歴、調査に来る人数、調査官の人相、話し方、声色、醸し出す雰囲気等で、調査官のタイプをプロファイリングすることができ、また、調査初日の動きなどから着眼点が見えてくるので、調査官のタイプに応じた対応と着地点をある程度見通すことができます。ですので、税務調査のアドバイスができることも強みかと思います。
 
あとは、私自身がSNSでそれなりに有名になったことで、顔パスで色んな方と繋がることができ、この分野ならこの先生をお繋ぎすれば最適解を導くことができると、お客様の課題解決に資することできる面も強みかと思います。ちなみに、ウェルスダイナミクスという8つのプロファイルテストを受けたところ、私は「スター」属性でした。私自身がブランドになるために自己研鑽を続けること、そして、私を通して他者にスポットライトを当てることを信条にしています。そのためにも、SNSはうまく活用していきたいと思っています。

これから力を入れていきたいことを教えてください

金融商品や不動産の知識をつけて、お客様の資産を増やすということを考えていきたいなというのがありますね。そうなると、相続や事業承継等の税制をもっと勉強しないといけないと感じます。最近、会社での横領事件、乗っ取りが多いので、それに対応できるよういずれ弁護士資格を取りたいと考えています。顧問先の法人を複数の知見から護れるよう自己研鑽やチーム作りをしていきたいです。
 
また、時代はどんどん変わっていくので、自分もどんどん変化していきたいです。私の野望として、税理士という枠にとらわれず、何かワクワクする面白いことを仕掛けたいなと常日頃から考えています。その根底には、専門的な知識でお客さんや周囲の人たちを幸せに、また自分自身も豊かに幸せになりたいという想いがあります。
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