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専門家インタビュー

不動産鑑定士、セミナー、執筆 「強み」が嚙み合うと、実務のサイクルが回り出す!

元上場企業経理マン。税理士法人トーマツを退職後、平成30年に税理士として独立開業。令和3年3月に不動産鑑定士登録し、資産税業務、自社株評価、不動産評価に強い事務所を目指し活動中

開業後に不動産鑑定士の資格を取得した井上先生。そこから実務と執筆・講演のサイクルがうまく回るようになったと言います。事務所の強みをどう作るか、という点で非常に役に立つ話をうかがいました。

税理士を目指したきっかけを教えてください

 私は早稲田大学理工学部出身で、同大学の理系大学院へ進学後、IT系上場企業で内定をもらっていました。内定後、入社まで1年ぐらい余裕があったので、独学で簿記の勉強を始めたらハマってしまいました。もともと独立志向があったこともあり、将来の開業も見据えて税理士資格も目指すことに決めました。とはいえ内定をもらっているので、働きながら勉強をする道を選択しました。
 入社した企業でも事情をお話しして、本来SE職で採用されていましたが、会社の計らいで経理部門で働かせていただけました。ただ、どうしても上場企業の経理の経験だけでは税務の実務経験が足りないということもあり、税理士試験3科目受かったところで税理士法人トーマツに転職しました。
 その後、トーマツ在籍中に無事税理士試験に合格しました。

独立前後の時期について教えてください

 トーマツではオープンしたての高崎事務所に配属いただき、当初所長と私しかいなかったこともあり、本当に様々な業務を担当させていただきました。5年程度法人申告業務中心に経験させていたところで、ある程度自分の中でやり尽くした感がでてきました。また、自分よりも後に入社して先に開業していく同僚の存在にも影響を受け、当初35歳くらいでの開業を予定していましたが、前倒しで33歳で独立開業することにしました。
 開業にあたって、何を強みとして事務所運営を行っていくかということで、事業承継コンサル(自社株の評価含む)や相続税申告における不動産評価に特化したいと考えました。ただ、その時すでに相続専門事務所がたくさんあり、ただ相続特化するだけでは埋もれてしまうという意識から不動産鑑定士の資格に着目し、勉強を始めました。 開業1年目、2年目は不動産鑑定士の試験勉強にあてていました。開業の際に顧問先になった法人のお客さんもいましたが、それ以外の収入がなく、どんどん預金が減少していく苦しい時期でした。
 不動産鑑定士の勉強を開始してから最終的に修了考査に合格して登録するまでに約3年かかりました。 不動産鑑定士に登録し、ホームページや名刺で周知したところ、徐々に同じ浦和支部の税理士会の先生方などに知っていただき、「相続の相談に乗ってよ」、「相続の土地の評価手伝ってくれない?」などお声がかかるようになりました。
 そうしていくうちに、今度は講師依頼や執筆依頼が舞い込むようになりました。そこで、多くの方に知っていただき、土地の評価を中心に、税理士や弁護士からのお仕事の依頼が増えました。

事務所の強みと特徴を教えてください

 私の事務所の強みは、財産評価、不動産鑑定の実務を豊富に行っていること、そして、セミナーや講演の活動を行っていることです。
 財産評価、土地の不動産の評価、自社株評価を中心に資産税のスポット業務がたくさん集まってきているので、その糧で集まった情報やノウハウをセミナーだったり書籍で還元していくというサイクルが出来上がっています。
 実務を行いインプットして、セミナー、書籍でアウトプットすると、税理士や資産家の目に留まり、また実務を行っていくというサイクルを回しています。
 いきなり書籍ではなくて実務が先にありますので、より現場に即した、喜ばれるセミナー、書籍にすることができていると感じます。
 実は法人顧問は開業時からほとんど増やしていません。業務のほとんどが税理士や弁護士からのスポットの依頼です。その間を縫ってセミナーを行い、年に一回くらい執筆というバランスです。

これから税理士を目指してる人や開業を控えている方へアドバイスをお願いします

 開業するにあたってご家族がいる方は、少し余裕を見て前々から話して家族の理解を得ることが重要だと思います。どうしても家族を巻き込む話ですので。私の場合、妻には、交際時から開業する旨は伝えていました。
 あとは重要なのは何に特化するかです。自分なりにこれまでやってきたことを振り返ってリスト化して、強みを把握しておくといいと思います。
 ただ、私がそうであったように強みは開業後からでも創出できます。特に今はSNSなどを通して様々な分野に特化した先生方の取組みや方法論の一端を知ることができます。そういったものにもアンテナを張って、過去の自分にとらわれず、今後新たな強みを作る計画を練るのもいいと思います。
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