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専門家インタビュー

不動産オーナーに役立つ コロナ禍における法務アドバイス

昭和 52年   早稲田大学 法学部卒業
同  57年   弁護士登録 第一東京弁護士会入会
同  61年   吉田法律事務所開設
平成元年 9月  早稲田大学法職課程教室講師
同 6年 4月  東京家庭裁判所調停委員
同 6年     建設省・定期借地権活用住宅研究会・事業小委員会委員
同 9年 3月  建設省・定期借地権活用住宅研究会・管理小委員会委員
同10年 4月  神奈川大学法学部講師
同10年 6月  建設省・定期借地権活用住宅研究会・金融小委員会委員
同12年 6月  高齢社会に対応した安心して暮らせるまちづくり研究会委員(定期借地権を利用したリバースモーゲージの研究会)
同12年 7月  建設省・高齢者の生涯借家に関する委員会委員
同12年12月  建設省・住宅市場環境整備計画検討委員会委員
同13年 3月  国土交通省・終身建物賃貸借検討委員会委員
同14年 2月  国土交通省・地方住宅供給公社検討委員会委員
同14年 9月  国土交通省・公営住宅管理研究会委員
同14年11月  厚生労働省・雇用促進住宅基本課題検討会委員
同15年 2月  国土交通省・マンション建替えの円滑化に資する借家制度の在り方に関する検討委員会委員
同15年10月  国土交通省・賃貸住宅市場整備研究会ワーキングチーム委員
同16年 5月  東京都都市整備局・東村山市本町地区プロジェクト審査委員会委員
同16年 8月  定期借家推進協議会・居住用定期借家マニュアル検討ワーキンググループ座長
同17年 4月  神奈川大学法科大学院講師
同17年10月  経済産業省・事業承継関連相続法制検討委員会委員
同17年12月  国土交通省・高齢者専用賃貸住宅研究会委員
同18年 3月  法務省・競売制度研究会委員
同18年 8月  国土交通省・空港土地等貸付検討会委員
同19年 2月  経済産業省・相続関連事業承継法制等検討委員会委員
同19年12月  政策研究大学院大学客員教授
同21年 2月  国土交通省・社会資本整備審議会臨時委員
同23年 7月  国土交通省及び厚生労働省・サービス付き高齢者向け住宅の登録制度に係る参考とすべき入居契約書等の検討会委員
同23年12月  国土交通省・マンションの新たな管理ルールに関する検討会委員

今回は、これまで我が国の借家権制度の創設に関わってこられ、また、最新の不動産実務にも精通する吉田修平先生に、コロナ禍の実務への影響と不動産オーナーに役立つ対応策について、お話を伺いました。

コロナ禍の影響と見られる不動産トラブルにはどういったものがあるでしょうか。

テナントからの賃料減額請求や支払猶予請求があると思います。さらに賃料不払に起因した契約解除や契約期間中にテナントから自発的に途中退去の申出がされることも考えられます。特に、コロナ禍の影響でトラブルになりやすいのは、途中退去のケースです。この場合、中途解約条項の有無が問題になりますが、これがない場合で途中退去したいケースや、すぐに退去したいが事前予告期間分の違約金を免除してほしいといったケースも出てくる可能性があると思います。

テナントが貸主に賃料減額や支払猶予を求めるケースは、実際に多いのでしょうか。

あくまで肌感覚ですが、かなりあると思います。ひと頃に比べて状況がやや持ち直してきているとはいえ、飲食業などのテナントにとって、賃料の支払が重荷になっている状況に変わりはないからです。

貸主は、この要請にどう対応しているのでしょうか。また、交渉が難航して紛争に至るケースはあるのでしょうか。

コロナ禍の状況では、貸主も助け合いの感覚を持っていると思いますので、多くの貸主は、こうした要請に応じる方向で対応していると思います。紛争に至るトラブルとしては、賃料不払、途中退去不可にもかかわらずその申出がなされた場合、あるいはテナントが原状回復をせずに退去してしまったようなケースが想定されます。ちなみに、私が貸主から相談を受けた場合には、賃料減額ではなく賃料支払の一部免除や支払猶予による対応を勧めています。というのも、一旦、賃料減額の合意ができてしまうと、後でコロナ禍が収束し、賃料を元に戻そうとした場合に、改めて賃料増額の合意が必要になるためです。もし、合意できなかった場合には、調停や裁判が必要になる場合も出てきます。したがって、われわれ実務家は、この辺りを整理し、理解しておくことがとても重要です。コロナ禍とはいえ、安易に賃料減額に応じるのではなく、慎重な対応が求められています。

売上が減少した事業者を支援する目的で、家賃支援給付金制度が創設されています。これについてはい かがでしょうか。

基本的にはかなり使いやすい制度だと思います。具体的には、今年5月から12月までの間で、1か月単位で売上が前年同月と比較して50%以上減少している、または、連続する3か月の売上合計が前年の同じ期間の売上合計と比較して30%以上減少している場合に利用できます。実際にかなり利用されているのではないでしょうか。ただ、この制度については、借地借家法の適用がある建物賃貸借契約でなければ利用できないとの誤解もあるようです。出店契約やレンタル契約等の契約でも基本的に対象となっていますので留意する必要があります。また、本制度の利用には、賃貸借契約に関する書類の提出が求められていますが、自動更新や法定更新されてきたテナントに対しては、更新後の契約書自体がなくても給付金の申請が円滑に進められるように、適切なアドバイスや対処方法を理解しておく必要があると思います。

最後に、不動産関連の法律実務上の関心事をお聞かせください。

所有者不明土地問題に関心があります。これに関しては、現在、法務省の法制審議会で議論されており、不要な土地の所有権放棄を認めるとする民法の改正や、相続登記を義務化する不動産登記法の改正などが予定されています。また、これ以外にも相続や相隣関係に関する法改正も見込まれていますので、この先も目が離せません。

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