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専門家インタビュー

番組制作の現場でコンプライアンスの要請に応える

ご経歴
1986年3月:慶應義塾大学 法学部法律学科卒業
1990年11月:司法試験合格
1993年4月:弁護士登録(第二東京弁護士会)

情報バラエティー番組「ワイドナショー」に、コメンテーターとして出演されている弁護士の犬塚浩先生に、コメンテーターとして心掛けていることや、番組制作に携わることの面白さについて、出演者ならではのお話を伺いました。

バラエティ番組のコメンテーターを引き受けられた経緯を教えてください。

元々テレビ局のバラエティ部門の相談弁護士をしていたこともあり、懇意にしていた番組制作担当者から、時事問題を扱うバラエティ番組を開始するにあたり、お声掛けいただきました。今はほとんどの局がそうだと思いますが、会社の中の法務部だけではなく、制作サイドにも弁護士をつける時代になっています。こうすることで、コンプライアンスへの要請に応えたり、番組制作上の法的な課題にも早期に対応でき、番組制作を円滑に進めることができます。

先生はコメンテーターをしながら番組制作にも携わり、法律面のチェックもされていますが、特に心掛けていることはありますか。

大きく3つあります。一つ目は、当たり前ですが真剣に取り組むということです。
番組としてのお笑い、という意味での雰囲気に飲み込まれないことです。笑いが本業ではない我々は、現場の笑いの雰囲気から、日頃契約書チェックを一生懸命やる人でも、テレビになると急に甘くなるところがありますが、やはり一つ一つについて真剣に取り組むことが重要です。

二つ目は、本業の実務であまり扱わない分野についても、しっかり情報収集をすることです。

三つ目は、テレビ特有の尺を意識することです。テレビは尺という時間の継ぎ合わせで制作されていますから、長い説明をしてもダメなんです。

しかし一方で、分かりやすさも重要だと思いますが

そうですね。だからある意味キャッチフレーズに近いもので答えないといけません。全てを答えようとするのは無理です。ややテクニカルな話ですが、仮に後からクレームが出ても、自分の発言にエクスキューズができるように短くコメントするのが秘訣です。

番組を観ていると、急に先生に話題が振られている場面があります。あれはアドリブが多いのですか。

バラエティ番組は台本があってないようなもので、現場の流れが重視されています。回答は視聴者が聞きたいことに上手くマッチさせることが大事です。これは相談業務と同じで、何を答えてほしいのかを瞬時に読み取るという我々に求められている能力を生かして、即座に答えられることが重要です。

では、コメンテーターの面白さはどういった点にありますか。

勉強になるという点では、世の中のさまざまな出来事に対して、法律家としてチェックをするようになりました。また、わくわくという意味での面白さであれば、自分がサジェストしたことによって「ああ、そうなんだ」といったリアクションをもらえたときは、非常にコメンテーターとしてのやりがいを感じます。

コメンテーターになったことでのメリットはありますか。

仕事上のメリットはほとんどありませんが、初対面の人でも、「あ、見てます」みたいな感じで、割と早く相手と近くなれるというメリットはあります。

最後に、弁護士の先生がバラエティ番組に出演する際のアドバイスをいただけますか。

冒頭でも言いましたが、注意してほしいのは、ワイドショーやバラエティ番組の現場は、雰囲気を和ませるために少し緩くなっていることもありますが、そこを誤解して、自分もウケを狙おうと思うのはやめた方がいいです。場を壊すような生真面目なことを言っても仕方ないですが、あくまで弁護士というスタンスを忘れずにいないと、それは本当に本業の評価を下げることにもなりかねません。

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