納得できる相続のために
首都圏某所。ある地下鉄の駅を上がると、あたり一帯の不動産の大部分が、一人の地主によって所有されている——地元では“名士と呼ばれ、戦後に苦労しながらたった一代で数百もの不動産資産を築いたY様です。
今はまだご自身があちこち走り回って不動産の管理をされていますが、将来のことを考え生前の相続対策に着手しようと、ある税理士事務所に相談をされていました。しかし、その事務所の提案にY様はどうも納得ができない。どことなく対応がドライで形式的、Y様の気持ちをまったく汲み取っていないように感じられたのです。
そんなY様がレガシィを知ったのは、レガシィの10年来の顧客とY様がお知り合いだったから。士業を営むY様のご長男が、以前プレミアム税理士の一人と仕事で出会っていたという偶然も手伝い、お付き合いが始まりました。
最初の面談は7年前。担当したプレミアム税理士はいきなり相続対策の具体策を提案するのではなく、まずは「Y様が将来どうしたいか」を、じっくりお聞きすることから始めました。ヒアリングに費やした期間は、なんと約3年。慎重にお気持ちを整理していくと、相続対策におけるいくつかの課題が見えてきました。
例えば、所有する不動産の数が膨大なため、当初Y様は底地の物納を考えていらっしゃいました。しかしいざ相続が生じたら、ご遺族は10ヶ月以内にすべての物納手続きをしなければなりません。たとえY様がレールを敷いておくとはいえ、仕事で多忙なご長男がそれをやり切れる自信はありませんでした。
「物納は、前の税理士事務所からも提案されていたこと。その提案に納得できなかったのは、気持ちが理解されず配慮に欠けた対応になっていたからかもしれません」
そう語るプレミアム税理士。同様の配慮の欠如は、前事務所と作成されていた遺言書を見ても感じられました。誰に何をどれだけ相続するかは考えられていても、その後の納税まで具体的に想像できていない。そのため、不動産の大半を受け継ぐ長男の納税額が膨大になり、納税できない可能性が見えてきたのです。
これまでY様が考えてきた相続プランには、無理があるかもしれない。それが分かってくると、ご本人からは意外な言葉が出てきました。
「実はもういらないと思っている」
所有する不動産だけでなくお住まいの自宅さえも、Y様は生前に手放すことを視野に入れていたのです。ただし自宅は公園にして、向かいにあるY家発祥の地だけは残してほしい、と。
思わぬY様のホンネに、「ならばそれを実現しましょう!」とプレミアム税理士。所有するすべての不動産を査定し、物納ではなく生前に売却する方向で見通しを立てました。ご自宅は公園にすることを条件に区に買い取ってもらうことにし、幼稚園と児童施設が建っているY家発祥の地は、しばらくそのまま継続させることに。そして遺言書も、ご遺族の納税に無理が生じないよう書き換えることになりました。
その遺言書を見て、プレミアム税理士には気づいたことがありました。Y様は遺言書の付言事項に、これまでご自身が成し遂げてきた歴史をしっかり書き連ねていたのです。戦時中にお父様を亡くし、少年時代から苦労を重ね、日本の経済状況に振り回されながらもいかに自分がこれまで生きてきたのか。何百もの不動産はその象徴であり証でもありますが、Y様が本当に遺したいのは、自分の歴史そのものなのかもしれません。その思いにご本人自身が気づいたら、Y様の相続プランはまた変わっていくことでしょう。
生前の相続対策に正解はありません。生きている限り、いつご本人の考えが変わるかわからないから。しかしそんなとき、自分の感情を理解してくれる相手がいるかどうかで、相続対策は大きく変わります。レガシィはこれからも、ご本人がためらわずホンネを語れる、そんな相続パートナーであることを目指していきます。
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