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令和5年(2023年)度 税制改正

更新:2022/12/19
令和5年度の税制改正大綱が2022年12月16日に、ついに発表されました。

税理士法人レガシィでは、解説セミナーやホームページでの情報掲載により、税制改正の内容をお伝えいたします。

令和5年度 税制改正大綱

先日12月16日に速報セミナーを実施いたしました。会場・オンライン参加あわせて400名ほどのお客様にご参加いただき、好評のもと開催を終了いたしました。
速報セミナーについては、読売テレビ様にも取り上げていただきました。

読売テレビニュース
【賢いお金の使い方】NISA拡充で投資加速? 贈与・相続税 改正ポイントは? ふるさと納税で“生活防衛”!

専門家の立場から情報を取得したい税理士の先生方へ

レガシィでは税理士の先生方へ、顧客へご提案するにあたり役立つ今後の贈与・相続対策について、業界最速で解説動画をご用意しました。詳しくは下記のページをご覧ください。

改正に向け注視しているポイント

令和5年税制改正では、引き続き暦年課税が強化される、または暦年課税が廃止されるのではないかという点がポイントになります。お客様へ「早めの情報提供」となるべく、弊法人での取り組みを以下にまとめています。

令和2年(2020年)12月10日に令和3年度税制改正大綱が与党から発表されました。その中に注目される記載が18ページから19ページにあります。

●令和3年度税制改正大綱(抜粋)

・資産移転の時期の選択に中立的な相続税・贈与税に向けた検討
 高齢化等に伴い、高齢世代に資産が偏在するとともに、相続による資産の世代間移転の時期がより高齢期にシフトしており、結果として若年世代への資産移転が進みにくい状況にある。
 高齢世代が保有する資産がより早いタイミングで若年世代に移転することになれば、その有効活用を通じた、経済の活性化が期待できる。このため、資産の再分配機能の確保に留意しつつ、資産の早期の世代間移転を促進するための税制を構築することが重要な課題となっている。
 わが国の贈与税は、相続税の累進回避を防止する観点から、高い税率が設定されており、生前贈与に対し抑制的に働いている面がある。一方で、現在の税率構造では、富裕層による財産の分割贈与を通じた負担回避を防止するには限界がある。

  ~中略~

 相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化の防止等に留意しつつ、資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。

テーマは「資産移転の時期の選択に中立的な相続税・贈与税に向けた検討」とあります。
ズバリ言えば贈与税の改正の予兆です。

1.贈与税改正の方向性を推測する

暦年贈与と相続時精算課税制度

今まで富裕層の方には、贈与は暦年贈与をお勧めしてきました。理由は相続時精算課税制度は、「行きはよいよい帰りは怖い」制度だからです。
相続時精算課税制度では贈与時は課税されない部分が多いのですが、相続時に過去の贈与金額が高い税率で課税されてしまいます。暦年贈与は贈与時に課税されても相続税の税率より安ければ早めの財産移転は正解なのです。
現に平成30年贈与課税件数は、暦年課税分37万件、相続時精算課税分4万件と圧倒的に暦年課税分が利用されています。(2020年11月13日に開かれた第4回政府税制調査会の資料より)
富裕層にとって有利な暦年課税制度に制限を加えるか、廃止する方向で検討をしている気配が読み取れます。

政府税制調査会資料から読み解く

2020年11月13日に開かれた第4回政府税制調査会の資料によれば

●個人金融資産1,700兆円のうち、60歳以上が6割を所有している(2014年)
●65歳以上の高齢世帯は25%が3,000万円以上、14%が2,000万円以上3,000万円未満の貯蓄残高を所有している。(2014年)
●被相続人が80歳以上の方が全体に占める割合は71%(平成30年・2018年)であり、この年齢は50代・60代以上の子供がいる。若い世代への移転は子供世代より孫世代が対象になると経済活性化に有益である。

とあります。高齢者が持っている金融資産を消費に繋がる若い世代に移転できれば、経済が活性化します。
ただし富裕層に有利にすると、相続税・贈与税の本来の趣旨である資産の再分配が機能しないため、そこも考慮しながら検討をするはずです。
その結果、相続時精算課税の利用を促進できる税制にすれば両方の効果が見込まれるというものです。

将来の税制改正を推測する

議論の方向性をもって将来の税制改正を推測すれば二通りが考えられます。

●暦年贈与税制を廃止し、贈与はすべて相続時精算課税とする。贈与時は税金がかからない、もしくは少なくし、相続時にすべての贈与を含めて課税する。

●暦年課税制度を見直し、相続前の贈与の加算期間を現状の3年前から5年前に、10年前に、15年前に変更する。これによって暦年贈与の利用の制限をし、資産移転の時期を中立的にしながら資産の再分配機能を強化する。

対応策はどうするか?
今はまだ検討段階ですが、令和4年度税制改正には出てくる可能性が強いです。改正はさかのぼって課税強化することは考えにくいので、親孝行の子供と、その子供の子供である孫に、教育的配慮をしながら今から有利な暦年贈与を検討することをお勧めします。
では、具体的などのような対策があるか見ていきましょう。

今後の生前贈与対策

生前贈与として、どのような対策が有効になるか考えてみます。

1.暦年贈与の最終年、または最終年の前年の贈与でしっかり移す
まず考えられるのは、税制改正前の最終年もしくは最終年の前の年の贈与です。税制改正の内容にもよりますが、暦年贈与が有効であれば多めの贈与が考えられます。いくらが最適かは、専門家へご相談ください。

2.子どもが不動産を買うときに一部親名義で購入する
さらに子供の住宅等の一部を親名義で購入する対策はそのまま一部を親が所有し、相続時に渡します。不動産、特に建物は相続時に評価が安いので有益です。

3.住宅資金贈与が制度として残っていればそれを使う
そして今まで通りですが、子供が住宅を購入するときは住宅資金贈与を利用することです。非課税枠の利用です。

令和4年度から税制改正となった場合は、令和4年3月31日までの贈与が一つの目安となります。今から贈与を検討するのは得策と言えるかもしれません。

今後の相続税対策

生前贈与に限らず、今後の相続税対策として有効になると考えられる対策は以下になります。

1.養子縁組
孫との養子縁組は基礎控除分が多くなることに加え、相続人ごとに掛ける相続税率を下げる可能性が高いので有益です。

2.法人疎開
収益物件を新しく作った法人へ移管させる(法人疎開)のも有効な対策と考えます。直接個人所有するよりも、法人を通して所有するほうが相続の評価が安くなるケースがあるからです。

3.海外疎開
親子そろって移住という海外疎開も、日本にいる理由が無い方にとっては選択肢の一つです。

これまで相続税対策としてわかりやすく有効であった暦年課税が強化または廃止される場合、その他のいろいろな相続税対策を検討し、ご自身に最もメリットがあるものを選択する必要があります。早めに専門家へ相談し、贈与を検討されてみてはいかがでしょうか。

2.動画でわかりやすく解説しています

弊法人代表の天野隆が、贈与税改正について動画でわかりやすく解説しております。

どうなる暦年贈与

第1回(2021年01月19日公開)【確率 根拠 いつから】はこちら
第2回(2021年03月10日公開)【改正予想をわかりやすく】はこちら
第3回(2021年04月03日公開)【有力なのは?大胆予想】はこちら
第4回(2021年04月09日公開)【なぜ大騒ぎになっているか?】はこちら
第5回(2021年04月15日公開)【なぜ暦年課税強化説か?】はこちら
第6回(2021年08月16日公開)【なぜ贈与が改正のターゲットなのか?】はこちら
第7回(2021年08月22日公開)【最終年どうすればいい?】はこちら
第8回(2021年08月28日公開)【クイズで分かる贈与の実態】はこちら
第9回(2021年09月03日公開)【クイズで分かる贈与の実態②】はこちら
第10回(2021年09月09日公開)【クイズで分かる贈与の実態③】はこちら
第11回(2021年09月15日公開)【クイズで分かる贈与の実態④】はこちら
第12回(2021年09月27日公開)【ご質問ベスト3に答える】はこちら
第13回(2021年10月03日公開)【最終年どうする?】はこちら
第14回(2021年10月09日公開)【贈与になる場合ならない場合】はこちら
第15回(2021年10月15日公開)【相続人以外の人への贈与】はこちら
第16回(2021年10月21日公開)【1次相続対策の最終年】はこちら
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第24回(2021年12月08日公開)【今の贈与はどうなっている?】はこちら
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贈与改正で実務はこうなる

第1回(2022年11月03日公開)【生前贈与の改正 現状はどうか?問題点は何か?】はこちら
第2回(2022年11月10日公開)【移転の時期に中立的な税制 検討されている案】はこちら
第3回(2022年11月17日公開)【今年と来年の駆け込み贈与はこうなる】はこちら
第4回(2022年11月24日公開)【相続時精算課税はどうなる?と非課税贈与整理】はこちら
第5回(2022年12月05日公開)【速報税制改正!贈与の相続財産加算期間が7年に】はこちら

3.Twitterでも情報発信しています

どうなる生前贈与?無くなるか?

弊法人代表の天野隆が、Twitterでも贈与税改正について情報発信しております。

Twitterでの連載についてはこちらをご覧ください。

 

4.ウェビナーを開催します

2023年1月25日(水)14:00~ 無料セミナー(会場、オンライン同時開催)を開催します

『相続と贈与の一体化とは』

セミナー会場にお越しいただきご参加された方には、もれなく書籍をプレゼントいたします。
※最新書籍『相続格差』または『「生前贈与」のやってはいけない』のどちらかをプレゼントいたします。
※会場席は数に限りがあります。お申込み多数の場合は抽選とさせていただきます。落選の場合は、オンライン参加のご案内をいたします。

ぜひご参加ください。

お申し込みはこちらから

士業・専門家に向けてウェビナーを開催しています。

令和3年度税制改正大綱「資産移転の時期の選択に中立的な相続税・贈与税」について、大胆な予想を交えながらその改正の行方を占います。
毎月、内容を変えて開催しておりますので、ぜひご参加ください。
ウェビナー一覧はこちらをご覧ください。

第1回(2021年2月10日 ⇒開催済み)暦年贈与が無くなる!? ~資産移転の時期の選択に中立的な相続税・贈与税~
第2回(2021年3月19日 ⇒開催済み)暦年贈与が無くなる!? 続編
第3回(2021年4月14日 ⇒開催済み)暦年贈与がなくなる!? 4月編
第4回(2021年5月12日 ⇒開催済み)暦年贈与がなくなる!? 5月編
第5回(2021年6月18日 ⇒開催済み)暦年贈与がなくなる!? 6月編
第6回(2021年7月16日 ⇒開催済み)暦年贈与がなくなる!? 7月編
第7回(2021年8月20日 ⇒開催済み)暦年贈与がなくなる!? 8月編
第8回(2021年9月17日 ⇒開催済み)暦年贈与がなくなる!? 9月編
第9回(2021年10月15日 ⇒開催済み)暦年贈与がなくなる!? 10月編
第10回(2021年11月19日 ⇒開催済み)暦年贈与がなくなる!? 11月編
第11回(2021年12月11日 ⇒開催済み)暦年贈与がなくなる!? 12月編

 

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レガシィが運営する【侍TALKS】で贈与に関しての動画を配信しております

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