相続税の申告なら相続専門税理士法人レガシィ【公式】

税制改正(平成25年度)

税制改正(平成25年度)

1.相続税の基礎控除の縮小

ポイントと影響

相続税の基礎控除(課税最低限)が縮小されます。
これにより、相続税の申告対象者が現在の2倍に増えると見込まれます。

内容

改正前:5,000万円+1,000万円×法定相続人数→改正後:3,000万円+600万円×法定相続人数 4割減

法定相続人数 1人 2人 3人 4人 5人
改正前 6,000万円 7,000万円 8,000万円 9,000万円 1億円
改正後 3,600万円 4,200万円 4,800万円 5,400万円 6,000万円
適用時期

平成27年1月1日以後の相続又は遺贈による取得から適用されます。

2.相続税の最高税率の引き上げ

ポイントと影響

相続税の最高税率を55%へ引き上げるなどの税率構造が見直されます。
税率の改正は課税価格が10億円以上の人に重大な影響を及ぼします。

内容
各法定相続人の
法定相続分
改 正 前 改 正 後
税率 控除額 税率 控除額
1,000万円以下 10% 10%
1,000万円超 3,000万円以下 15% 50万円 15% 50万円
3,000万円超 5,000万円以下 20% 200万円 20% 200万円
5,000万円超   1億円以下 30% 700万円 30% 700万円
1億円超   2億円以下 40% 1,700万円 40% 1,700万円
2億円超   3億円以下 45% 2,700万円
3億円超   6億円以下 50% 4,700万円 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円
適用時期

平成27年1月1日以後の相続又は遺贈による取得から適用されます。

3.小規模宅地等の評価減の適用面積拡充と要件緩和

ポイントと影響

自宅敷地や事業敷地について適用される小規模宅地等の評価減について適用面積が拡充されるとともに、要件が緩和されます。特に、老人ホームに関する要件緩和は、施設に入所している90歳代、80歳代の親を持つ世代にとってありがたい改正です。

内容

(イ)居住用宅地等の適用面積拡大と完全併用
   ・特定居住用宅地等に係る特例の適用対象面積を330㎡(改正前240㎡)までの部分に拡充。
   ・特例の対象として選択する宅地等の全てが特定事業用宅地等又は特定同族会社事業用宅地等及び
    特定居住用宅地等である場合には、730㎡まで適用可能
   ・貸付事業用宅地等を選択する場合における適用対象面積(200㎡)の計算については改正なし。

(ロ)二世帯住宅について適用要件の緩和
   二世帯住宅について、建物内部で二世帯の居住スペースがつながっていないと、特例の適用が出来な
   かったところ、構造上の要件を撤廃する。

(ハ)老人ホームの適用要件の緩和

適用要件の緩和

適用時期

(イ)平成27年1月1日以後の相続又は遺贈による取得から適用されます。
(ロ)、(ハ) 平成26年1月1日以後の相続又は遺贈による取得から適用されます。

4.未成年者控除額及び障害者控除額の拡大

ポイントと影響

相続人が未成年者や障害者の場合、控除される金額が拡大されます。
平成22年税制改正の障害者控除額「85歳に達するまでの年数(改正前は70歳)」に続く減税となります。

内容

未成年者控除額 障害者控除額

適用時期

平成27年1月1日以後の相続又は遺贈による取得から適用されます。

5.贈与税(暦年)の税率構造の見直し

ポイントと影響

相続税の税率の改正に伴う改定に加え、祖父母・父母から子・孫への贈与に対する税率が緩和されます。
400万円を超える贈与財産から減税となります。

内容

贈与税の速算表

基礎控除(110万円)後の
課税価格
改正前 改正後
一般 20歳以上の者への
直系尊属からの贈与
税率 控除額 税率 控除額 税率 控除額
200万円以下 10% 10% 10%
300万円以下 15% 10万円 15% 10万円 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円 20% 25万円 15% 10万円
600万円以下 30% 65万円 30% 65万円 20% 30万円
1,000万円以下 40% 125万円 40% 125万円 30% 90万円
1,500万円以下 50% 225万円 45% 175万円 40% 190万円
3,000万円以下 50% 250万円 45% 265万円
4,500万円以下 55% 400万円 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円
適用時期

平成27年1月1日以後の贈与による取得から適用されます。

6.相続時精算課税制度の対象者の拡充

ポイントと影響

相続時精算課税制度の対象者が拡充されます。
ただし、孫に対する贈与については、相続時に相続税額の"2割加算の適用"があるため、相続時まで見据える必要があります。

内容

改正前:受講者:20歳以上の推定相続人 贈与者:65歳以上の者 改正後:20歳以上の推定相続人及び孫 60歳以上の者

適用時期

平成27年1月1日以後の贈与による取得から適用されます。

7.教育資金一括贈与に係る非課税措置の創設

ポイントと影響

入学時に大学4年間の授業料をまとめて孫に渡すのは贈与となっていたのをその都度ではなく、一度に贈与をまとめた事が大きな違いです。
メリットは、個人金融資産の6割は60歳代以上が保有しており、子育て世代の教育資金の負担が減れば、その分買い物や外食、旅行を楽しむ余裕が生まれ景気にプラスとなります。

内容
贈与者 祖父母・父母 受贈者 子・孫・ひ孫
贈与手段 金融機関に子・孫名義の口座を開設し、資金を一括拠出
非課税限度額 子・孫ごとに1,500万円まで(塾など学校等以外の者は500万円)
教育費の範囲 入学金、授業料、塾、習い事など。この範囲は文部科学大臣が決定。
税務署への申告 金融機関経由で「教育資金非課税申告書」を提出
払出 目的どおり教育資金に充てたことを確認できる書類を金融機関に提出
使途 金融機関が領収書等をチェックし書類を保管
贈与税 子・孫が30歳に達する日に口座は終了し、使い残しがあれば贈与税を課税
適用時期

平成25年4月1日から平成27年12月31日までの間に拠出されるものについて適用されます。

8.国外に居住する相続人等に対する課税の強化

ポイントと影響

子や孫に外国籍を取得させることにより国外財産への課税を免れるような租税回避事例が生じていることから相続税・贈与税の納税義務の範囲について課税の適正化が図られます。

内容

日本国内に住所を有しない個人で日本国籍を有しないものが、日本国内に住所を有する者から、相続又は遺贈・贈与により取得した国外財産を相続税又は贈与税の課税対象に加えられました。

相続税・贈与税の納税義務の範囲

相続税・贈与税の納税義務の範囲

相続税・贈与税の納税義務の範囲2

適用時期

平成25年4月1日以後の相続もしくは遺贈又は贈与による取得する国外財産から適用されます。

9.事業承継税制の要件の緩和(相続税・贈与税)

ポイントと影響

非上場株式等に係る相続税等の納税猶予制度について、より多くの中小企業経営者が安心して制度を活用できるよう、適用要件の緩和、負担の軽減、手続の簡素化など、制度の使い勝手を高める根本的な見直しが行われます。

内容
(イ)適用要件の緩和

1. 雇用確保要件の緩和
  「毎年8割以上」が必要 ⇒「5年間平均で8割以上」に。
2. 後継者の親族間承継要件の廃止
  「親族間での承継」が必要 ⇒「親族に限らず適用が可能」に。
3. 先代経営者の役員退任要件の緩和 〔贈与税〕
  「役員の退任」が必要 ⇒「代表者退任要件(有給役員として残留可)」に。

(ロ)負担の軽減

1. 納税猶予の打ち切りに係る利子税の負担軽減
  ① 納税猶予期間に係る利子税を引き下げる。( 年2.1% ⇒ 0.9%※)(平成26年1月1日〜)
  ※ 貸出約定平均金利の年平均が1%の場合
  ② 納税猶予期間が5年を超える場合には、5年間の利子税を免除する。
2. 民事再生計画等に基づき事業再生を行う際に、納税猶予税額を再計算し、
  一部免除する措置の創設

3. 債務控除方式の変更
  債務の相続があっても納税猶予をフル活用できるように、先代経営者の個人債務等を株式以外の
  相続財産から控除する。

(ハ)手続の簡素化

1. 事前確認制度の廃止(平成25年4月1日〜)
2. 提出書類の簡略化
3. その他の使い勝手を向上させるための措置
  ① 一定の株券不発行会社への適用を可能とする。
  ② 一定の事由により経済産業大臣の認定の取消しがあった場合は、その猶予税額の納付に当たり、
    延納・物納の適用を可能とする。

適用時期

納税猶予期間に係る利子税の引き下げは平成26年1月1日、事前確認制度の廃止は平成25年4月1日、それ以外は平成27年1月1日以後の相続もしくは遺贈又は贈与による取得から適用されます。