2019.10.18 遺言のおさらい(公正証書遺言の「口授」について)-その1
2019.10.18 | カテゴリ:相続応援日記, 相続関連情報
民法969条は、公正証書遺言作成の方式として、「遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。」を要求しています。
「口授(くじゅ)」とは、遺言者が遺言の内容を直接公証人にたいして口頭で伝えることを意味します。
このため、公証人の質問に対して頷いたり首を振るだけでは、公証人に遺言内容を伝えたことにはならないため、判例上、「口授」が行われたとは認められません。
また、受遺者が内容を公証人に伝え、遺言者自身は頷くのみであった場合も、同様に「口授」が行われたとは認めなかった判例もあります。
なお、遺言者が話すことができない場合については特則がありますが、それは次回説明いたします。
そもそも「口授」が要件とされた趣旨は、正確な内容の遺言を作成することにあります。
遺言者の意思が正確に伝達されたか疑わしい事情がある場合には、「口授」が行われたとは認められないこととなります。
他方で、遺言者が言語不明瞭であったため、家政婦が介添え的な通訳をした場合に、「口授」が認められた事案もあります。
したがって、「口授」を手伝った人が利害関係を有するかも、判断材料になるものと考えられます。
記:資産家を応援する相続の専門家:税理士法人レガシィ 八杉 努 4190
(幸せなキャッシュフロープロジェクト)(もめない・もめさせない遺産相続プロジェクト)